Les présents Op.46 Deux mélodies |
プレゼント 2つのメロディ |
Si tu demandes quelque soir Le secret de mon coeur malade, Je te dirai pour t'émouvoir, Une très ancienne ballade! Si tu me parles de tourments, D'espérance désabusée, J'irai te cueillir seulement Des roses pleines de rosée! Si pareille à la fleur des morts, Qui fleurit dans l'exil des tombes, Tu veux partager mes remords. Je t'apporterai des colombes! |
もしきみが今宵知りたいのならば ぼくの病んだ心の中の秘密のことを ぼくは歌おう、きみを感動させるため とても古い昔のバラードを! もしきみがぼくに話すのなら、苦しみのことや 消えてしまった希望のことを ぼくはきみのためだけに集めよう 露に濡れたバラの花を もし死者のための花と同じように それが墓場に咲くのならば きみもぼくの後悔を分かち合いたいのだろう ぼくはきみにハトをあげよう |
リラダンの詩に付けたフォーレ歌曲、「夜曲(ノクチュルヌ)」とこの「プレゼント」の2曲しかありません。「ノクチュルヌ」もそうでしたが、この詞も何とも言えないデカダンスが漂っているように私には思えます。
人間的な深みがないとこんな感じの詩はとても軽薄でクサイものになってしまいますが、さすが貧乏のきわみにあってもこんなダンディズムを通したリラダンの詩には気迫がこもっているように思えました。翻訳者がその気迫を伝えきれていないのはまあお許しのほど。そしてまた音楽の方も「ノクチュルヌ」ほどの魅力は発揮できていないかも知れません。どちらかというと淡々と愛を語っている感じです。
さてこの曲、EMIのフォーレ歌曲集CDの対訳ではバルウァー(Bulwer)という人の一節
La fleur embaume le rocher(花は岩を香らせる)
という引用(副題)が書かれていましたが、夜曲で書きましたのと同様リラダンの原典にはないようで、どの段階で誰が引用したのかは不明です。
( 2007.04.30 藤井宏行 )