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Davno l’ pod volshebnye zvuki   Op.49-5  
  5 romansov
いつのことだったろうか、魅惑的な音楽で  
     5つのロマンス

詩: フェート (Afanasij Afanas’evich Fet,1820-1892) ロシア
      Давно ль под волшебные звуки

曲: アレンスキー (Anton Stepanovich Arensky,1861-1906) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Davno l’ pod volshebnye zvuki
Nosilis’ po zale my s nej?...
Teply byli nezhnye ruki,
Svetly byli zvezdy ochej.

Vchera peli pesn’ pogreben’ja,
Bez kryshi grobnitsa byla;
Zakryvshi glaza,bez dvizhen’ja,
Ona pod parchoju spala.

Ja spal; nad postel’ju moeju
Stojala luna mertvetsom...
Pod chudnye zvuki my s neju
Nosilis’ po zale vdvoem...

いつのことだったろうか、魅惑的な音楽で
彼女と一緒に舞踏会に行ったのは
優しい手は暖かく
彼女の瞳は星の輝きだった

昨日、人々は弔いの歌を歌い
彼女は棺の中
瞳は閉じられ、動くこともなく
花輪の中で眠っている

私もベッドに横たわって眠る
月は死人のようにじっと動かずにいる
それでもなお聴こえてくるのはあの魅惑的な音楽
2人でダンスをした時の


ロシア音楽の中でも、チャイコフスキーの流れを組み、繊細に洗練された曲をたくさん書いたのがこのアレンスキーです。
いくつかのピアノ曲やピアノ3重奏曲などが有名ですが、歌曲にもまた、ロシアの憂愁の香りをほのかに漂わせながら、繊細なメロディーがやさしく紡ぎ出される素敵な歌がいくつもあります。
ご紹介した曲、メロドラマの回想シーンのようなありがちなシチュエーションを描写していますが、その想い出のダンスのシーンに使われたのは、チャイコフスキーが書いてもおかしくない美しいワルツ、有名な「悲愴」交響曲第一楽章の第二主題を思わせるような見事な旋律です。
儚くも夢見るような舞踏会の幻はピアノの強打と共に消え去り、悲しい別れのシーンへと暗転しますが、終わり近くなってまた美しい舞踏会の幻が現れてきます。溜め息が出るような美しい幻に浸ってみるのもまた一興。
詩人のフェートはロシア歌曲ではよく見掛ける人で、素朴で抒情的な味わいに魅力のある人です。
サヴェンコのバリトン、ブロックの伴奏によるHyperion盤のロシア歌曲集(Russian Image 2)でも群を抜く美しさで聴かせてくれます。
またNaxosにあるローザ・ポンセルアメリカ録音集というCDでも「愛の翼」というタイトルで収録されているのを見つけました。英語での歌唱のようですがピアノとヴァイオリンのしみじみとした伴奏もあってなかなか良い味わいです。

( 2003.11.22 藤井宏行 )


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