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Serenada   Op.63-6  
  6 Romansov na stikhi K. R
セレナーデ  
     ロマノフ公の詩による6つの歌曲

詩: ロマノフ (Konstantin Konstantinovich Romanov,1858-1915) ロシア
      Серенада

曲: チャイコフスキー (Pyotr Ilyich Tchaikovsky,1840-1893) ロシア   歌詞言語: ロシア語


O ditja,pod okoshkom tvoim
ja tebe propoju serenadu...
Ubajukana pen’em moim,
ty najdesh’ v snovide’jakh otradu;
pust’ tvoj son i pokoj
v chas bezmolvnyj,nochnoj
nezhnykh zvukov lelejut lobzan’ja!

Mnogo gorestej,mnogo nevzgod
tebja v zhizni,ditja,ozhidaet;
spi zhe sladko,poka net zabot,
poka serdtse trevogi ne znaet,
spi vo mrake nochnom
bezmjatezhnym ty snom,
spi,ne znaja zemnogo stradan’ja.

Pust’ tvoj angel-khranitel’ svjatoj,
milyj drug,nad toboju letaet
i,leleja son devstvennyj tvoj,
tebe rajskuju pesn’ napevaet.
Pust’ toj pesni svjatoj
otgolosok zhivoj
tebe v dushu vselit upovan’e.

Spi zhe,milaja,spi,pochivaj
pod akkordy moej serenady!
Pust’ prisnitsja tebe svetlyj raj,
preispolnennyj vechnoj otrady;
Pust’ tvoj son i pokoj
v chas bezmolvnyj,nochnoj
nezhnykh zvukov lelejut lobzan’ja!

オー、ベイベェ、この窓の下で
俺はきみにセレナーデを歌うよ
この歌できみも癒されて
よろこびを見つけ出すがいい
きみの夢とやすらぎの中
この静かな夜に
やさしいキッスの調べに包まれるがいいさ

たくさんの不幸が、たくさんの苦しみが
人生には、ベイベェ、待っているよ
だけどそっとお休み、そんな心配事がやって来るまでは
きみの胸に悩みが生まれるまでは
おやすみ、やすらかに、おやすみ
この夜の暗闇の中で
おやすみ、この世の争いごとなど知らずに

お前を守ってくれるエンジェルが
見つめてくれるように、祈るよ
きみの子供のような眠りを導いてくれるように
天国の子守歌をやさしく歌いながら
そしてその歌の清らかなエコーが
きみの中に響き渡って
きみの心を幸せにするように

だからおやすみ、愛しい娘、おやすみ
俺のセレナーデの響きに包まれて!
素敵なパラダイスの夢を見られるように
永遠に続く喜びに満たされて
きみの夢とやすらぎの中
この静かな夜に
やさしいキッスの調べに包まれるがいいさ


ハイネの詩をプレシチェーエフがロシア語訳した「君は花のよう」(曲:ラフマニノフ)に関連して昨年更新情報Blogの方にロシア歌曲を歌われている方よりわざわざコメントまで頂きましたロシア語でのDitja(Child)の解釈の問題。この詩を見るとどうやら解決のようですね。窓の下で自分の娘に向けてセレナーデを歌うようなことはまあ余程ヘンなオヤジでないとしないと思いますので、ここで使われてるDitjaは昔のロックンローラーがよく使っていた「ベイベェ(Baby)」みたいな恋人への呼びかけです。ロシアで日常的に当たり前に使うのかどうかは知識がないので何ともいえないのですが、親しい女の子への呼びかけにそれなりに使われる愛称なのでしょう。
それで訳語をどうしようか考えたのですが、この詩の感じってもろにロック・バラードですので思い切って「ベイベェ」にしてみました。ついでに浜田省吾あたりが歌いそうな感じの雰囲気の歌詞に仕上げてみましたけれどもいかがなものでしょうか。ロマノフ公のある意味歌謡曲っぽい「大衆的」な詩自体がこんな翻訳の方に良く合っているように思えますので、個人的にはけっこう悪くない訳ができたものと自己満足に浸っております。
ただ曲はゆったりとしたボレロのリズムで少々ユーモラスに歌っているセレナードですので、このような訳詞を見ながら聴くとちょっと違和感がなくもありません。まあ聴いたのがバス歌手、エフゲニー・ネステレンコの貫禄あふれる歌であったというのもあるのですけれど。
詩の内容も、「世間の荒波を知らないでいられるうちは、何も心配しないでおやすみ」というような保護者の目線も入っておりますので、窓の下で歌っていなければ父から娘へのセレナーデと取れないこともなくはありません。まあクラシック音楽を妙に堅苦しく考えておられる人が多いのでたまにはこんなのも良いでしょうか(最近多すぎるような気も...)。笑ってお許しくださればありがたいです。

( 2007.04.20 藤井宏行 )


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