?瑰三願 |
バラの三つの願い |
?瑰花?瑰花爛開在碧欄干下 ?瑰花?瑰花爛開在碧欄干下 我願那?我的無情風雨莫吹打 我願那愛我的多情遊客莫攀摘 我願那紅顔常好不凋謝 好教我留住芳華 |
バラの花 バラの花 青い欄干の下に咲いている バラの花 バラの花 青い欄干の下に咲いている 私は願う 私を妬む無情の風雨が打ちつけてこないことを 私は願う 私を気に入った気まぐれな通行人に摘まれないことを 私は願う この赤い色がいつまでも色あせず 香り高く美しいままでいられることを |
中国の瀧廉太郎ともいえる人がこの曲の作曲者・黄自(Huang Tzu 1904-1938)でしょうか。西洋音楽のスタイルを中国に持ち込んで美しいメロディをたくさん書いた人として、そして若くして病に倒れて亡くなってしまったことなどが私には妙に瀧廉太郎を連想させます。
彼は上海近郊の出身でアメリカに留学し、帰国後はたくさんの歌曲や映画音楽を書きました。また日華事変勃発後は抗日運動のための歌曲や合唱曲も書いています。
そんな彼の1932年の作品。たぶん彼の作品の中では最も知られたもののひとつではないでしょうか。歌曲としてよりも器楽で演奏されることの方が多いかも知れません。西崎崇子さんのヴァイオリンによるこの曲の演奏などもなかなか味わいがありました。
かなり西洋風のメロディなので、これが中国の音楽だとは器楽で聴くと感じられないかも知れませんが、歌付きで聴くと何となく納得です。実は1932年のはじめには上海を日本軍が攻撃した第一次上海事変というのが起こっており、前年の九一八事変などもあって中国は上海に日本軍を駐留させることを認める停戦協定を結ばざるを得なくなります。こんな戦争の時代、同じように上海に当時暮らしていた作詞者の龍七(ペンネームで、本名は龍?生)共々、平和な生活を願う気持ちでこの曲を作ったのではないかと思わせる切々とした美しい歌はこのようなときに生まれました。
歌曲のスタイルで聴けたのは、崔岩光さんの録音した中国歌曲集(King)のみですが、彼女の澄みきった声にこのメロディはたいへんすばらしくマッチしてとても感動的です。
作詞者の龍七については1966年没との記録を見つけましたので、まだこちらも歌詞の方は著作権残存ということになります。タイトルで検索いただけば中国のサイトで原詞は容易に見つけて頂けますので、ここではやはり訳詞のみの掲載に留めさせて頂きます。またクレームがあったときにはこの訳詞も削除させて頂きますがご了承ください。
(2017年3月18日 詩人の著作権も切れましたので原詩も掲載致します)
( 2007.04.14 藤井宏行 )