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陽春    
  朔太郎の四つの詩
 
    

詩: 萩原朔太郎 (Hagiwara Sakutarou,1886-1942) 日本
    月に吠える  

曲: 清水脩 (Shimizu Osamu,1911-1986) 日本   歌詞言語: 日本語


ああ、春は遠くからけぶつて来る、
ぽつくりふくらんだ柳の芽のしたに、
やさしいくちびるをさしよせ、
をとめのくちづけを吸ひこみたさに、
春は遠くからごむ輪のくるまにのつて来る。
ぼんやりした景色のなかで、
白いくるまやさんの足はいそげども、
ゆくゆく車輪がさかさにまわり、
しだいに梶棒が地面をはなれ出し、
おまけにお客さまの腰がへんにふらふらとして、
これではとてもあぶなさうなと、
とんでもない時に春がまつしろの欠伸をする



( 2020.09.20 藤井宏行 )


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