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Torna a Surriento    
 
帰れソレントへ  
    

詩: デ・クルティス,ジャンバッティスタ (Giambattista de Curtis,1860-1926) イタリア
      

曲: デ・クルティス,エルネスト (Ernesto de Curtis,1875-1937) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Vide 'o mare quant'è bello!
spira tanta sentimento...
Comme tu,a chi tiene mente,
ca,scetato,'o faje sunná!

Guarda guá' chisti ciardine,
siente sié' sti sciure 'arancio...
nu prufumo accussí fino,
dint''o core se ne va...

E tu dice: “Io parto,addio!”
T'alluntane da stu core...
Da la terra de ll'ammore,
tiene 'o core 'e nun turná?!

Ma nun mme lassá,
nun darme stu turmiento...
Torna a Surriento:
famme campá!...



Vide 'o mare de Surriento
che tesore tene 'nfunno:
Chi ha girato tutt''o munno,
nun ll'ha visto comm'a ccá!

Guarda,attuorno,sti Sirene
ca te guardano 'ncantate
e te vònno tantu bene:
Te vulessero vasá!...

E tu dice: “Io parto,addio!”
T'alluntane da stu core...
Da la terra de ll'ammore,
tiene 'o core 'e nun turná?!

Ma nun mme lassá,
nun darme stu turmiento...
Torna a Surriento:
famme campá!...


ご覧よ このとてもきれいな海を!
たくさんの想いが息づいている
まるできみみたいだ、見た人の心を捕らえ
目覚めている者にも夢を見させる

ご覧 ご覧よ この庭を
感じて 感じてよ オレンジの花の香りを
やさしいその香りは
心の中に染み入ってくるんだ

なのにきみは言う「あたしは行くわ さよなら」と
きみはぼくの心を見捨て
この愛に満ちた土地を捨てていく
もう戻ってくる気はないのか?

ぼくを置き去りにしないで!
ぼくにそんな苦しみを与えないで!
戻っておいでソレントへ
ぼくを生きさせておくれ!



ご覧よ ソレントの海を
この底には宝物が眠っているんだ
世界中を旅してる人でも
これほど素晴らしいところを見ることはないんだ

まわりのシレーヌたちを見てご覧
きみをうっとりと見つめている
きみにやさしくしたいって
きみにくちづけしたいって

なのにきみは言う「あたしは行くわ さよなら」と
きみはぼくの心を見捨て
この愛に満ちた土地を捨てていく
もう戻ってくる気はないのか?

ぼくを置き去りにしないで!
ぼくにそんな苦しみを与えないで!
戻っておいでソレントへ
ぼくを生きさせておくれ!


ナポリターナとしてはこれもたいへん有名な曲「帰れソレントへ」です。ソレントというのはナポリ近郊の町でリゾート地としても有名なのだそうです。
そんなこともあってこの曲、そこのホテルのコマーシャルソングとして作られたのだという説が良く語られていますが、どうも調べてみるとホテルで初演されたのはその通りなようですけれども、実は1902年、当時のイタリアの総理大臣ジュゼッペ・ザナルデッリがソレントを訪問したときに彼をもてなし、ついでに地域振興を訴えるためにソレント市長の依頼で作られたプロパガンダソングだ、というのが本当のところのようです。
そのときに歌われた歌詞はこれとは違ったようですが、楽譜が出版される際にこの歌詞のような去っていく恋人を呼び戻す歌詞に変えられたとのことです。残念ながらオリジナルの歌詞は分かりませんでした。またナポリの言葉で書かれていますので、翻訳も一筋縄では行きません。標準イタリア語に訳されたものの中で比較的原詩に忠実だと思われるものを参照して訳してみましたのでいくつか原詩とは意味が通らない部分もあるかも知れません。ただできるだけ原詩に忠実に訳す努力はしましたので、かなり意訳の多い日本語対訳よりは何がしかお役に立てるところもあるのではないかな、とは思います。
まあそうはいいましても、この曲に関しては日本で良く知られている歌の内容とそれほど驚くような違いはありませんでしたけれども。

標準イタリア語ではSorrento(ソレント)ですが、ナポリ語ではSurriento(スッリエント)なんですね。このあたりも原詞を検索するときは注意が必要です。また2番で出てくる水の精Sirene、シレーヌと読むとフランス語読み(多分イタリア語ではシレーネ)なのですが、こちらの方が日本人には通りが良いのではないかと思いましたのでそうしています。

( 2007.03.16 藤井宏行 )


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