Marssnön Op.36-5 6 Laulut |
3月の雪 6つの歌 |
Den svala snön därute faller och täcker marken mer och mer, de lägga sig de vita stjärnor i varv på varv längs jorden ner. Håll slutet än,o vår! ditt öga, sov gott i blid och vänlig snö - dess mäktigare skall du blomma, dess rikare skall sen du dö. |
冷たい雪が表に降り そして野原をどんどん覆っていく 白い星たちは積み重なっていく 層の上に層をなして大地の上に 閉じるが良い、おお春よ! お前の目を 穏やかに優しい雪の上で眠れ そうすればより力強く花が咲くことだろう そうすれば一層豊かな死を迎えられるだろう |
ヴェクセルの詩に付けたシベリウスの歌曲といえば、たいへんに有名な「3月の雪の上のダイヤモンド」がありますけれども、同じようにこの詩も3月の雪の情景を歌っています。そして作品番号でもこの曲がOp.36-5、そして3月のダイヤモンドがOp.36-6ですのでほとんど連作と考えても良いかも知れません。
更に言いますとこちらの方は夜に雪が降り積んでいくイメージ、そしてダイヤモンドの方は夜が明けて太陽の光のもと光り輝く雪のイメージです。そして同じように冬の終わりに死を重ね合わせていますが、こちらは「力強く花が咲くだろう」とあるように死と再生のイメージの方が強く感じられます。
この歌の最後はきちんとした終止形をとらず、雪の夜が更けていくかのよう。そしてすぐあとに次の曲のダイヤモンドの輝くような研ぎ澄まされたピアノ伴奏が始まるのはなかなかに印象深いのですが、そのような並びでこの2曲を取り上げられるケースはこの歌曲集Op.36を全部歌っているのでないとなかなかありません。というよりもダイヤモンドの方はあまりにも有名で取り上げる人も多いのですが、こちらはあまり取り上げられることもなくひっそりと知られざる曲になっています。
歌曲集全曲としてはBISにあるフォン=オッターのメゾによる見事な歌が聴けますが、私はこの曲(とダイヤモンドの方も)男声で歌われるものの方が好みです。といってもトム・クラウセのバリトン(Finlandia)くらいしか聴けてはいないのですけれども...
( 2007.03.02 藤井宏行 )