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Margretes Vuggesang   Op.15-1  
  4 Romanser
マルグレーテの子守歌  
     4つのロマンス

詩: イプセン (Henrik Ibsen,1828-1906) ノルウェー
    Kongsemnerne (1864)  En Stue i Kongsgaarden

曲: グリーグ (Edvard Grieg,1843-1907) ノルウェー   歌詞言語: ノルウェー語


Nu løftes Laft og Lofte til Stjernehvælven blaa,
Nu flyver lille Haakon med Drømmevinger paa.
Der er en Stige stillet fra Jord til Himmel op,
Nu stiger lille Haakon med Englene tiltop.
Guds Engle smaa de vaage for Vuggebarnets Fred,
Gud sign dig,lille Haakon,din Moder vaager med!

さあ ゆりかごも屋根も青いお星様の空へと昇っていく
さあ わたしのかわいいホーコンも 夢の翼で飛んで行きなさい
ほら あそこにははしごが地上からお空の上にかかってる
さあ わたしのかわいいホーコンも 天使のお友達と昇って行きなさい
神様の天使たちは ゆりかごの中の子供の安らぎを見守っている
神様の祝福があなたに かわいいホーコン あなたのおかあさんも見守っているわ!



「ソルヴェイグ(ソルーヴェイ)の子守歌」の他にもグリーグにはイブセンの詩に付けた子守歌があります。それがこの「マルグレーテの子守歌」。しかもこれもイブセンの戯曲から取られた歌です。ただこれがその戯曲のために書かれた曲なのかどうかは分かりませんでした。今は普通の歌曲集Op.15の中の一曲として出版されています。
13世紀のノルウェーの歴史を題材としたイブセンの史劇Kongsemnerne [The Pretenders](1863)。日本では「王位僭称者」であったり「王位簒奪者」だったり「王位をいつわる者」であったりとまだ定訳はないようですが、この物語で王位を簒奪しようとするスクーレ伯爵の娘にして、しかも王ホーコンの妃にもなっているという難しい立場のマルグレーテ。彼女がまだ反乱を起こす前の父に自分の息子を会わせる前に歌っていた子守歌がこれです。歌に出てくるホーコンと言うのがこの息子の名前(父王と同じ名です)。子供に呼びかけながら寝かしつける様子が何とも微笑ましいですし、同じイブセンの戯曲に付けた「ソルヴェイグの子守歌」と遜色のない美しさが魅力の子守歌です。
この詩にはまた、イギリスの作曲家ディーリアスがノルウェー語の原詩に曲を付けており、こちらもまた美しい出来で印象的でした。
もっとも、この歌曲集の4曲目でも触れますが、ちょうどこの曲を書く直前にグリーグはひとり娘をわずか1歳で亡くしており、そんなことを思って聴くと美しくも悲しい子守歌なのでした。
弦楽伴奏ではありますが、このグリーグのとディーリアスのと両方聴き比べることができるのが世界の子守歌を集めたイムジチ・モントリオールの弦楽合奏にソプラノのナディア・ペレの歌ったChandos録音。ピアノ伴奏に比べると少々濃密過ぎるかも知れませんがこの美しさは魅力です。
グリーグ作品のピアノ伴奏ではNaxosにあるボーディ・アルネセンの歌が入手も容易そうですし良いでしょうか。伴奏共々に慎ましい調べがグリーグの魅力を最大に引き出しています。

( 2007.02.25 藤井宏行 )


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