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Wiegenlied    
 
子守歌  
    

詩: ゴッター (Friedrich Wilhelm Gotter,1746-1797) ドイツ
      

曲: フリース (Bernhard Flies,1770頃-1851) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Schlafe,mein Prinzchen,schlaf ein!
Es ruh'n Schäfchen und Vögelein.
Garten und Wiese verstummt,
Auch nicht ein Bienchen mehr summt.
Luna mit silbernem Schein
Gucket zum Fenster herein.
Schlafe beim silbernem Schein,

Schlafe,mein Prinzchen,schlaf ein,
Schlaf ein,schlaf ein!

Alles im Schlummer schon liegt,
Alles in Schlummer gewiegt.
Reget kein Mäuschen sich mehr,
Keller und Küche sind leer.
Nur auf dem Simse am Dach
Ist noch ein Kätzelein wach,
Gucket zum Fenster herein.

Schlafe,mein Prinzchen,schlaf ein,
Schlaf ein,schlaf ein!

Wer isst beglückter als du?
Nichts als Vergnügen und Ruh!
Spielwerk und Zucker vollauf,
Pferde und Wagen im Lauf,
Alles besorgt und bereit,
Daß nur mein Kindchen nicht schreit.
Was wird da künftig erst sein?

Schlafe,mein Prinzchen,schlaf ein,
Schlaf ein,schlaf ein!

おやすみ、私の王子様、おやすみ
羊さんや小鳥さんも眠って
庭も牧場も静かになったし
蜂さんたちももうぶんぶん言わない
銀の光のお月様が
窓から覗いているから
銀の光と一緒におやすみ

おやすみ、私の王子様、おやすみ
おやすみなさい

お城の中のみんな横になって
みんなぐっすり寝てしまった
ねずみさんたちももうちゅうちゅう言わない
だから屋根裏も台所も静かなの
でも、乳母の部屋だけからは
苦しそうな寝言が聞こえてくるわ
何て言っているか分かる?

おやすみ、私の王子様、おやすみ
おやすみなさい

なんてあなたは幸せなの?
楽しいことと安らぐことばかりで
おもちゃとお菓子はいっぱいあるし
お供が何でもしてくれる
立派な馬車がどこへでも運んでくれるから
私の王子様は歩かなくてもいいの
はじめにどこへ行こうかしら

おやすみ、私の王子様、おやすみ
おやすみなさい


長らくモーツアルトの作とされてきた子守歌です。
堀内敬三の「眠れ良い子よ」で日本でも良く知られた歌ですが、最近モーツアルトではなく彼と同時代に生きたドイツの医師&音楽愛好家ベルンハルト・フリースの作曲であることが分かってからはあまり歌われなくなったような気もします。
作曲者の名前が有名かどうかで扱いが変わるのもどうかと思いますが、確かにCD Nowなどのサイトで検索しても、録音しているのはゼーフリートやエレナ・ベルガー、シュヴァルツコップといった昔の名歌手ばかりで、新しい録音はあまり見当たりません。やはり扱いが軽んじられているのでしょうか?
しかし改めて聴いてみると、素晴らしい子守歌です。堀内敬三さんの訳詞はこれで歌えるように簡潔にまとめているので、私の方は原詩にできるだけ沿って訳してみました。
結構よくできた詩に、淡々と歌われる旋律、最後のところだけShclafe(おやすみ)をリタルダンドで引き伸ばして余韻を持たせて終わります。
上に挙げた往年の名歌手のものも聴いてみたい気はするのですが(特にシュヴァルツコップの歌。ゼーフリートのは聴きましたがとても素敵でした)、今は日本のコロラトゥーラ・蒲原史子さんの録音した子守歌のCD(Denon)で繰り返し聴いています。
優しい声で淡々と歌われて、この曲の素朴な魅力を引き出していると思います。
それとこのCDで特筆すべきは朝川朋之氏による室内楽アンサンブル編曲の素晴らしさ。
私はあまり歌曲の伴奏を編曲したものは好まないのですが、この編曲は各楽器の音色の魅力を引き出しながら決して出しゃばらず、とても聴きやすいです。

生まれたばかりの子供にも安心して聴かせられる優しい音楽です。

( 2003.08.17 藤井宏行 )


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