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皿屋敷    
 
 
    

詩: 野口雨情 (Noguchi Ujyou,1882-1945) 日本
      

曲: 藤井清水 (Fujii Kiyomi,1889-1944) 日本   歌詞言語: 日本語


お皿が一枚無くなった
一二三 一二三
かくしたお皿を出しとくれ
一二三 一二三
お菊は播州の井戸の上、井戸の上
三三が九 三三が九
お皿が一枚無くなった
一二三 一二三
かくしたお皿を出しとくれ
三三が九 三三が九
お菊は播州の井戸の中、井戸の中


夏らしい歌を一曲ご紹介します。
怪談「播州皿屋敷」に題材を取った日本情緒に溢れるこの作品、作曲者の藤井清水(きよみ)は日本古来の音楽の魅力を西洋歌曲のスタイルで見事なまでに表現した人です。
ほとんど知られざる作曲家となってしまいましたが、かの山田耕筰をして「私が知っている一番優れた作曲家は藤井清水だ」と言わしめた実力の持ち主です。
私も関定子さんのCD(Troika)が出るまでは知らなかったのですが、聴いてみてその日本情緒の表出が実に見事なのに驚かされました。
中山晋平ほどポップでもなく、平井康三郎ほど渋くない非常に雄弁なその音楽、知られざる曲にしておくにはあまりに惜しい作品ばかりです。
北原白秋や野口雨情の詩に付けた曲が多く、民謡風のものあり、童謡ありと多彩ですが、中でもやはり最初に目が行ったのはこの曲、ところどころに入るリタルダンドが結構恐いです。関定子さんのパワフルな熱唱も相俟って忘れがたい夏の逸品となりました。

( 2003.08.03 藤井宏行 )


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