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Arioso   Op.3  
 
アリオーソ  
    

詩: ルーネベリ (Johan Ludvig Runeberg,1804-1877) フィンランド
    Lyriska dikter II 3 Flickans årstider

曲: シベリウス (Jan Sibelius,1865-1957) フィンランド   歌詞言語: スウェーデン語


Flickan gick en vintermorgon
i den rimbeströdda lunden,
såg en vissnad ros och talte:
“Sörj ej,sörj ej arma blomma,
att din sköna tid förflutit!
Du har levat,du har njutit,
du har ägt din vår och glädja,
innan vinterns köld dig nådde.

Värre öde har mitt hjärta,
har på en gång vår och vinter:
gossens öga är dess vårdag
och min moders ärdess vinter.

Sörj ej,arma blomma,
att din sköna tid förflutit!”

乙女が冬の朝歩いていた
霜に覆われた野原を
一本のしおれたバラを見つけ こう話しかけた
「悲しまないで、悲しまないで、かわいそうなお花さん
あなたの幸せな時が終わってしまったことを!
あなたは生きてきた、あなたは楽しんできた
あなたは味わってきたのよ、あなたの春と喜びを
冬の冷たさがやってくる前には

もっとひどい運命が 私の心にはあるの
春と冬とが一緒に来てしまったような
いとしい恋人の瞳は春の日なのに
わたしのお母さんの目は冬なのよ

悲しまないで、かわいそうなお花さん
あなたの幸せな時が終わってしまったことを!」


シベリウス最初期の歌曲(Op.3)で、もともと弦楽オーケストラの伴奏で歌われる歌曲として書かれたもののようですが後にピアノ伴奏に編曲されています。詩のルネベルイはシベリウスの他の歌曲でもよく見かける名前。冬にしおれた花を見つけて少女が語りかけるというテーマは北欧の詩にはよくありますが、これもそんなひとつです。ルネベルイが付けた原詩の題名は“Flickans årstider(乙女の四季)”で、この曲もそのような副題で呼ばれることもあります。
悠然とした弦楽の伴奏は実に北欧の冬の情景描写にぴったりで、フラグスタート(Decca)のような北欧の大物歌手の噛み締めるような歌声で聴くとなかなかの味わいです。最近の録音ではフィンランド出身のカリタ・マッティラの歌(Warner)が出ていましたでしょうか。
ピアノ伴奏だとちょっとパッとしなくなってしまう感もなくもないですが、フォン=オッターの歌(BIS)で聴くとこいつも悪くありません。

( 2007.02.04 藤井宏行 )


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