Winternacht Op.62-4 Lieder um den Tod |
冬の夜 死者の歌 |
Flockendichte Winternacht... Heimkehr von der Schenke... Stilles Einsamwandern macht, daß ich deiner denke. Schau dich fern im dunklen Raum ruhn in bleichen Linnen... Leb ich wohl in deinem Traum ganz geheim tiefinnen?... Stilles Einsamwandern macht, daß ich nach dir leide... Eine weiße Flockennacht flüstert um uns beide... |
雪の降り積む冬の夜... 酒場からの帰り道... 静かに一人歩いていたら きみのことを思い出してしまった 遥かな暗闇の中に君を見る 蒼ざめたリネンの中で眠るきみを... ぼくはきみの夢の中にいるのだろうか 神秘的で深い夢の中に?... 静かに一人歩いていたら きみのことを思い出してしまった... 真っ白な雪の降りつむ夜は ぼくたちにそっとささやきかける... |
この詩には「死」という言葉がひとつも出てきませんし、雪の降る夜のしみじみとした美しさが印象的です。唯一死を感じさせるとしたら、それはこの中間部で幻想の中に見た愛する人の眠る姿。これが恐らく死の床にあった恋人のことを思い出しているのでしょう。
詩人はドイツの人ですが、この歌を聴きながら詩を見るとやはり北欧の冬のイメージがします(行ったことはないんですが)。音楽もひたすら静かにこの幻想的な情景を描写していて、この暗いトーンに溢れた歌曲集で唯一安らぎに満ちた歌ではありますが、何とも詩を読むと切ないですね。私はこの曲がこの歌曲集の白眉だと思っています。
( 2007.02.02 藤井宏行 )