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L'Oiselet    
  12 Mazurkas
小鳥  
     12のマズルカ

詩: ポメイ (Louis Pomey,1835-1901) フランス
      L'oiselet

曲: ヴィアルド=ガルシア (Pauline Viardot-Garcia,1821-1910) フランス   歌詞言語: フランス語


Le ciel est clair et l'air est doux,
Tout rit,tout jase autour de nous;
Toi seul,ô mon pauvre oiselet,
Toi seul languis triste et muet.

Le printemps qui tout ranime
De nos monts verdit la cime;
De la brise matinale
Un parfum d'amour s'exhale,
Aux champs,dans le secret des bois,
Tout ce qui vit dit à la fois
Le mot que la nuit dit au jour,
Le mot charmant,le mot d'amour.

Ah! Assise loin de son troupeau,
Et le suivant d'un oeil rêveur,
Chloé ne sait quel feu nouveau
Soudain s'allume dans son coeur.
Mais toi l'on ne peut te charmer,
Tu fuis le doux plaisir d'aimer.
Celui de qui tu plains les maux
Gémit captif sous les barreaux,
Adieu! l'amour et la gaîté
Pour qui n'a pas la liberté.

空は明るく、風は穏やか
すべてのものが笑い、私たちに語りかけるのに
あなただけよ、おお私の哀れな小鳥ちゃん
あなただけが苦しみ、悲しそうに黙っているの

すべてが甦るこの春の時
山のてっぺんは緑色になって
朝のそよ風は
恋の溜息の香りを運んでくる
野原に、そしてひそやかな森へと
そして出会うものすべてが会話を交わす
夜は昼間へと言葉を伝えるの
優しい言葉を、愛の言葉を

ああ!なのに仲間たちから離れて
夢見る瞳で仲間を追うだけなのね
クロエは分からない、どんな新しい炎が
彼女の心に燃えあがるのかは?
でもあなたは、だれも好きにならないの
愛の甘い喜びから逃げているのね
あなたを苦しませたあの人は
牢屋に閉じ込められた囚人のようにうめいているわ
さよなら、愛よ、喜びよ
あの人には自由がもうないの



ショパンのマズルカOp.68-2イ短調といいますと彼のマズルカの中でもひときわエキゾチックなたたずまいが面白い作品です。非常にマニアックな話題になりますが冗談音楽の元祖、イギリスのホフナング音楽祭では4本のチューバによるこの曲の演奏というのがあって、私はCDを聴いてその象のダンスのような奇妙な音楽に笑わせてもらったことがあります。そしてヴィアルド&ポメイのコンビはこの曲になんと小鳥に呼びかける可愛らしいイメージを重ね合わせました。確かにこのマズルカの中間部、ほの暗い主部が急に明るい旋律に入れ替わるところにはこの詩の「すべてが甦るこの春の時」の節の晴れやかなシーンが当てられていてとても美しいですが、あとは何とも小鳥への呼びかけにしては詞も曲もやっぱり暗いです。特に後半の主部は私は全然意味が取れなかったのですが、言い訳をさせて頂くと恐らくこの詩、音楽に詞を当てはめるために無理矢理イメージを捻り出しているのではないかと思います。
日本のポップスなどでもありますよね。言葉単体では曲にぴったりとはまっているのだけれど、詩として読んでみると全然意味が通っていないようなものが。
何で突然クロエという女の子の名前が出てくるのだろうとか、あなたを苦しませたあの人って誰?とか詮索してはいけないのかも知れません。いや決して詮索しないで下さい...

この曲、CPOのヴィアルド歌曲集のCDでカーリン・オットの歌で聴くことができます。

( 2007.01.01 藤井宏行 )


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