Hyperions Schicksalslied Vier Gesänge |
ヒュペーリオンの運命の歌 4つの歌 |
Ihr wandelt droben im Licht Auf weichem Boden,selige Genien! Glänzende Götterlüfte Rühren Euch leicht, Wie die Finger der Künstlerin Heilige Saiten. Schicksallos,wie der schlafende Säugling,atmen die Himmlischen; Keusch bewahrt in bescheidener Knospe, Blühet ewig Ihnen der Geist, Und die seligen Augen Blicken in stiller Ewiger Klarheit. Doch uns ist gegeben, Auf keiner Stätte zu ruhn; Es schwinden,es fallen Die leidenden Menschen Blindlings von einer Stunde zur andern, Wie Wasser von Klippe Zu Klippe geworfen, Jahrlang ins Ungewisse hinab. |
至福の精霊たちよ! あなた方は天上の光の中 やわらかなところを行き交う 輝かしいそよ風が 聖なる弦をつまびく 女たちの指のように あなた方に ほのかに触れてゆく 天上の霊たちは 眠る赤子のように 運命を超えた世界で息づき つつましやかなつぼみの中で 清らかに身を守られ その心は永遠に花咲き その至福のまなざしは 静かに澄んだ 永遠の明るさで輝いている だがわたしたち人間には どこにも安らぐ場所はない定めだ 悩み生きる人間は 過ぎゆき、落ちてゆく 岩から岩へと 水が落ちてゆくように 一時も休むことなく 行く末も知らず 落ちてゆく |
ヘルダーリンの書簡小説「ヒュペーリオン」に含まれる名詩「運命の歌」に作曲された歌曲。何と言ってもブラームスの合唱作品が有名で、わたしも実はその訳を試みていたのですが、歌曲の範疇に入らないためこのサイトに収めることがはばかれていたところ、フォルトナーにこの詩を使った作品があり、しかもフィッシャー=ディースカウのLPを持っている事がわかりました(笑)。作品としては、天上での精霊達の生活を詠う前2節は穏やかに、それと対比される人間を詠う第3節は不協和音を用いテンポも速めて激烈に、という、ほぼブラームスと同じ構想です。違うのは、ブラームスのように穏やかな後奏をつけてはいないことですが、これは当然のことでしょう。わたしとしてはこの詩は、もっと素朴な有節歌曲で聴いてみたい気がするのですが・・・。
( 2001.07.26 甲斐貴也 )