TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Chant de Noël    
 
クリスマスの歌  
    

詩: グラボレ (Paul Gravollet,1863-1936) フランス
      

曲: セヴラック (Marie-Joseph-Alexandre Déodat de Séverac,1883-1921) フランス   歌詞言語: フランス語


Las! nous n'avons pas l'avantage
De nous trouver dans le village,
Où le Sauveur a vu le jour;
Mais en esprit,suivant l'usage,
Nous visiterons ce séjour.

  Courage! que chacun s'apprête
  A chanter son plus tendre chant:
  Lors donc,gais pastoureaux,
  Bénissons l'âme en fête,
  Dieu le Père,la Mère et l'ineffable enfant.


Je vois au fond d'une humble étable,
Dans une crêche misérable,
Un bel enfant nimbé de feu,
Tout à la fois,Vierge adorable,
Aime en lui ton fils et ton Dieu.

  Courage! que chacun s'apprête
  A chanter son plus tendre chant:
  Lors donc,gais pastoureaux,
  Bénissons l'âme en fête,
  Dieu le Père,la Mère et l'ineffable enfant.


Bons villageois,prêtez l'oreille
A la musique qui réveille
Les bergers près de leurs troupeaux;
Et célébrez,tous,la merveille
En dansant au son des pipeaux.

  Courage! que chacun s'apprête
  A chanter son plus tendre chant:
  Lors donc,gais pastoureaux,
  Bénissons l'âme en fête,
  Dieu le Père,la Mère et l'ineffable enfant.


Que du Seigneur le nom rayonne,
Et que sa gloire au loin fleuronne
Sur cette terre comme aux cieux!
Qu'en sa bonté Jésus nous donne
La paix sainte des coeurs pieux!

  Courage! que chacun s'apprête
  A chanter son plus tendre chant:
  Lors donc,gais pastoureaux,
  Bénissons l'âme en fête,
  Dieu le Père,la Mère et l'ineffable enfant.

  (Pierre Goudouliによるラングドック地方の聖歌より 17世紀)
ああ、我らには何もいいことはない
この村に見つけられるものの中では
救い主がお生まれになったこの村
だが心の中では、しきたりに従って
われらはかの馬小屋を訪ねよう

  奮い立て!人々よ支度するのだ
  最高に優しい歌を歌うがよい
  今このときに、陽気な羊飼いよ
  この良き日を心から祝おう
  父なる神を、聖母をそして偉大なる御子を


私はこの粗末な馬小屋の中に見た
みすぼらしいかいば桶の中に
炎の後光がさした麗しき御子がおられたのを
すべての者を一度に、慕わしき聖母さまよ
彼を、そしてあなたの息子たちを、あなたの神を愛したまえ

  奮い立て!人々よ支度するのだ
  最高に優しい歌を歌うがよい
  今このときに、陽気な羊飼いよ
  この良き日を心から祝おう
  父なる神を、聖母をそして偉大なる御子を


善き村人たちよ、耳を傾けよ
目覚めへと導く音楽に
羊の群れの前にいる羊飼いを:
そして祝え、すべてを、この奇蹟を
バグパイプの音に乗せて踊れ

  奮い立て!人々よ支度するのだ
  最高に優しい歌を歌うがよい
  今このときに、陽気な羊飼いよ
  この良き日を心から祝おう
  父なる神を、聖母をそして偉大なる御子を


主の御名が光輝きますように
主の栄光が花開きますように
この地上にも天上のように!
偉大な慈悲を持ってイエスさまが我らに下さいますように
敬虔な心がもたらす聖なる平安を

  奮い立て!人々よ支度するのだ
  最高に優しい歌を歌うがよい
  今このときに、陽気な羊飼いよ
  この良き日を心から祝おう
  父なる神を、聖母をそして偉大なる御子を


南フランス、プロヴァンスやラングドック地方の言葉で書かれた17世紀の古いキャロルをPaul Gravolletという人が標準フランス語に訳したものに、近代フランスの知られざる大作曲家セヴラックがメロディを付けた歌曲です。存命中はドビュッシー、ラヴェルとならび称されたという彼の作品は、しかしながら彼の死後80年以上経ってみるとほとんど世の中に省みられることはなくなってしまいました。私は彼の作品はピアノ曲と歌曲しか耳にしたことはないのですが、それらの作品の味わい、決して忘れ去られるのが当然な陳腐さがあるわけでもないですし、ドビュッシーやラヴェルの亜流ではないオリジナルで新鮮な響きにも溢れています。
不当に忘れ去られた作曲家の系譜に彼も加えられてしまったのでしょうか。

さて、この曲、古いキャロルの雰囲気を残しながらも非常に美しい響きにハッとさせられます。Courage!のところのリフレインなどは力強く盛り上がって印象的。クリスマス定番のポピュラーソングとしてリメイクしてもヒットしそうな印象的なメロディが繰り返し繰り返し歌われるのはたいへんに素晴らしいと思うのですが、そういうことを考える才覚のあるプロデューサーはいないのでしょうか。今まで私がここで取り上げた幾多のクリスマスの歌の中でも1・2を争う素敵な作品だと思うのですけれども。

Hyperionレーベルにあるセヴラック歌曲集のCDで、バリトンのル・ルーにパトリシア・ロザリオのデュエットで非常に美しく歌われています。1・3の節をル・ルーが歌い、2・4の節をロザリオが歌います。最後のリフレインだけ2人ユニゾンで歌って力強くこの歌を締めてくれます。
このセヴラック歌曲集、彼の美しい歌曲をたくさん聴かせてくれて実に魅力的。フランス歌曲を愛する方でもしまだ聴かれたことのない方がおられましたらぜひ手に取ってみてください。フォーレにもドビュッシーにもない不思議なフランスのエスプリが詰まっています。

( 2006.12.24 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ