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Départ   Op.18-9  
  Les Illuminations
出発  
     イリュミナシオン

詩: ランボー (Jean Nicolas Arthur Rimbaud,1854-1891) フランス
    Les Illuminations  Départ

曲: ブリテン (Edward Benjamin Britten,1913-1976) イギリス   歌詞言語: フランス語


Assez vu. La vision s'est rencontrée à tous les airs.
Assez eu. Rumeurs de villes,le soir,et au soleil,et toujours.
Assez connu. Les arrêts de la vie. O Rumeurs et Visions!
Départ dans l'affection et le bruit neufs!

十分に見た。幻はあらゆる種類の大気の中にあった。
十分に得た。街のざわめきが夕暮れに、昼間の光に、そして永久に。
十分に知った。命の停滞を。おお!ざわめきよ、幻よ!
さあ愛と響きに向かって出発だ。


前の曲「パラード」がこの歌曲集で繰り返し繰り返し現れてくる「私だけがこの野蛮な道化芝居の鍵を持っている」で堂々と締められるのでもうこれで終わりかな、と思ったらそのあとに本当に静かにさりげなくこの詩が歌われます。「出発」とありながらも元の詩集「イルミナシオン」でも真ん中あたりの決して目立つところにはないこの詩、こんな地味地味な音楽の処理の仕方がよく似合っているといったところでしょうか。
けっこう個人的にはいい詩かなと思えたので、ちょっと力を入れて訳してみましたが、おかげでちょっと原詩の持つさりげなさが薄らいでしまったようにも見えます。
あれ、いつの間に音楽が終わったんだろう?と思えるようなさりげない終わり方でこの歌曲集は締められるのでした...

( 2006.12.16 藤井宏行 )


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