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Chanson à boire   Op.17  
  6 Mélodies
酒飲みの歌  
     6つのメロディー

詩: ユゴー (Vicomte Victor Marie Hugo,1802-1885) フランス
    Lucrèce Borgia  Amis,vive,vive l'orgie!

曲: ラロ (Edouard Lalo,1823-1892) フランス   歌詞言語: フランス語


Amis,vive,vive l'orgie!
J'aime la folle nuit
Et la nappe et la nappe rougie
Et les chants et le bruit,
Les dames peu sévères,
Les cavaliers joyeux,
Le vin dans tous les verres,
L'amour l'amour dans tous les yeux!
La tombe est noire,
Les ans sont courts,
Il faut,sans croire
Aux sots discours,
Très souvent boire,
Aimer toujours!

Amis,vive,vive l'orgie!
J'aime la folle nuit
Et la nappe et la nappe rougie
Et les chants et le bruit,
Ayons donc à nos fêtes
Les fleurs et les beautés,
La rose sur nos têtes,
La femme à nos côtés!

友よ、酒飲みに乾杯
俺は乱痴気な夜が好きなんだ
それに真っ赤なテーブルクロスと
歌と馬鹿騒ぎがな
少々お下品な淑女たちに
陽気な騎士たち
だれの杯にもワインが満たされ
だれの瞳にも愛がある!
墓は暗いし
月日は短いんだ!
だから信じることはないのさ
気が滅入る話なんかを
たらふく飲んで
毎日恋するんだ!

友よ、酒飲みに乾杯
俺は乱痴気な夜が好きなんだ
それに真っ赤なテーブルクロスと
歌と馬鹿騒ぎがな
さてと宴に付きものなのは
花と美人だな
だから頭にはバラの花を飾り
そして両手にも花なんだ


ユゴーという人は何とまあ多彩な詩を書いたんだろうと彼の詩に付けた歌曲を探訪するたびに感動してしまいます。政治的な激しい詩からトロトロのラブロマンス、人生のほろ苦さを噛み締めるようなものからメルヘンティックなお茶目なものまで、芸風の広さは他の詩人の追随を許さないものがあるように思います。
そしてこの詩はとても楽しい酒飲みの歌。歌詞を読むだけでウキウキしてしまいますから、日本語でも精一杯くだけた感じを出せるよう努力してみました。なおユゴーのたくさんある詩集のうちどれに入った詩なのかについては調べ切れませんでした。
またラロの歌は作品17-6で1855年頃の作曲のものが、詩の第一節をタイトルとして書かれているようなのですが、ラロの歌曲集のCDや楽譜自体がなかなかない中ではどんな曲だかまだわかっていません。私が耳にできたのはその数少ないラロの歌曲集のひとつ、テレサ・ツィリス=ガラの歌ったRodolphe盤のCDの最後に入っていたこの「酒飲みの歌」。1885年の作品で、解説に拠ればその作品17-6の改作だといいます。こちらは若干ユゴーの原詩をいじっているようですが、こちらの方が歌の詩としてはしっくりくるかも知れません。
こちらは2拍子が生き生きと跳ね回る、サロン風の楽しい歌。酒場で元気よく歌ったら楽しそうですね。ツィリス=ガラもパワーのあるソプラノなので雰囲気はばっちりです。

( 2006.12.10 藤井宏行 )


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