Le secret Op.23 Trois mélodies |
秘密 3つのメロディ |
Je veux que le matin l'ignore Le nom que j'ai dit à la nuit, Et qu'au vent de l'aube,sans bruit, Comme un larme il s'évapore. Je veux que le jour le proclame L'amour qu'au matin j'ai caché, Et sur mon coeur ouvert penché Comme un grain d'encens il l'enflamme. Je veux que le couchant l'oublie Le secret que j'ai dit au jour, Et l'emporte avec mon amour, Aux plis de sa robe pâlie! |
私は願う 朝が知らずにいるようにと 夜に私が告げた名前のことを そして夜明けの風の中 音もなく 涙が乾くようにそれが消えていくようにと 私は願う 昼が言いふらしてくれるようにと 朝に私が隠している恋のことを そして穏やかな心の中で ひと掴みのお香のようにそれが燃えて薫るようにと 私は願う 夕日が忘れてくれるようにと 昼に私が告げた秘密のことを そして夕日が私の恋と一緒に 黄昏の衣に包んでそれを持ち去ってくれるようにと |
いかにもフォーレらしい、というしかない歌曲です。詩も彼向きの内容ですし、音楽も典型的なフォーレ調。この曲が好きかどうかでフォーレ歌曲との相性の良し悪しが分かるのではないかというくらいのよくできた歌曲です。詩もこの時期の歌曲作品として「秋」や「愛の唄」「あけぼの」などたくさんの佳曲をフォーレにもたらしている詩人アルマン・シルヴェストルということで、個人的にはフォーレ歌曲の初期の集大成と言っても良い歌曲だと思っています(そう思っている人は世の中にそんなにはいないようですが)。まあ出だしのピアノのところとか歌のメロディがあの人気作「イスファハンのバラ」(こちらの方があとの作曲です)に非常によく似ているといったハンデがあるのがつらいところですが、私は個人的にはこの曲の方が昔から「イスファハン」よりも好みでした。似たようなメロディではありながらも「イスファハン」のような物憂い陶酔感でなく、楚々とした情感が詩にも音楽にも溢れているからかも知れません。
( 2006.12.08 藤井宏行 )