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Le voyageur   Op.18  
  Trois mélodies
旅人よ  
     3つのメロディ

詩: シルヴェストル,アルマン (Paul-Armand Silvestre,1837-1901) フランス
    Les Ailes d’Or,poésies nouvelles 1878-1880 - Vers pour être chantés 1 Le voyageur

曲: フォーレ (Gabriel Fauré,1845-1924) フランス   歌詞言語: フランス語


Voyageur,où vas-tu,marchant
Dans l'or vibrant de la poussière?
- Je m'en vais au soleil couchant,
Pour m'endormir dans la lumière.

Car j'ai vécu n'ayant qu'un Dieu,
L'astre qui luit et qui féconde.
Et c'est dans son linceul de feu
Que je veux m'en aller du monde!

- Voyageur,presse donc le pas:
L'astre,vers l'horizon,décline...
- Que m'importe,j'irai plus bas
L'attendre au pied de la colline.

Et lui montrant mon coeur ouvert.
Saignant de son amour fidèle.
Je lui dirai: j'ai trop souffert:
Soleil! emporte-moi loin d'elle!

旅人よ、何処へ行くのだ、歩いて
この震える黄金色の塵の中を
-私は行くのだ 沈む夕日に向かって
そこで光に包まれて眠りにつこう

なぜなら私はただひとつの神を抱いて生きてきた
輝き、命をくれたあの太陽を
そして太陽の炎の死装束こそが
私がこの世を捨てて向かうべきところなのだ!

-旅人よ、歩みを速めろ
太陽はもう地平線に向かって沈みかけている
-構いはせぬ、私はもっと先にいき
あの丘の麓で太陽を待つのだから

そして太陽にこの心を見せよう
口を開き、忠実な愛の血を流しているこの心を
太陽に告げるのだ「私はあまりにも苦しんだ
太陽よ!連れて行ってくれ、あの人のいないところへと!


「旅人よ」というと私の耳の中では加山雄三の「かーぜにふるえるー みどりのそーげん(詞:岩谷時子)」が鳴り響いてしまいますが、フォーレのこの曲もそんな雰囲気の短調の力強い曲です。途中「歩みを速めろ」のところで長調に転調するところなどもなんとなくあの歌に似ています。最後のオチは失恋のいじけた歌なのですが、何かそこまでの情景は決然と運命を迎える旅人の力強さが表されているようで聴いていても気持ちが良いです。またこの詩で表されている美しい夕焼けの情景も見事ではないでしょうか。フォーレの歌曲としてはあまり取り上げられることもないような作品ですが、詩も音楽もけっこう興味深かったです。

(原詩は「旅人」ですが、最初が「旅人よ」と呼びかけになっていますし、この加山雄三チックな歌に触発されてこのタイトルにしています)

( 2006.11.13 藤井宏行 )


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