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かごかき    
 
 
    

詩: 貴志康一 (Kishi Kouichi,1909-1937) 日本
      

曲: 貴志康一 (Kishi Kouichi,1909-1937) 日本   歌詞言語: 日本語


よいこらどっこいよっさっさ
ほいかごほいかごほいほいほい
かごはいらぬか 
のりゃしゃんせ
なにわはよいとこ 
名所が多い
天満の天神 天王寺
御霊に住吉 大阪城

よいこらどっこいよっさっさ
ほいかごほいかごほいほいほい
かごはいらぬか 
のりゃしゃんせ
天神祭の 
お舟が通る
太鼓たたいて 松明つけて
どんちきちきちき どんちきちん

よいこらどっこいよっさっさ
ほいかごほいかごほいほいほい
かごはいらぬか 
のりゃしゃんせ
曾根崎新地の 
夕べの風情
三昧や太鼓の はやしも陽気
とんとことことこ とんとことん



一部のクラシック音楽愛好家の間で隠れた人気の、夭折した大阪出身の日本人作曲家・指揮者の貴志康一。フルトヴェングラーが在任中のベルリンフィルハーモニーを指揮して自作を録音した、など管弦楽作品(交響曲「仏陀の生涯」や「日本組曲」)の方での注目度が高いですが、この人も瀧廉太郎同様にけっこうな数の歌曲を遺しています。なかでも一番有名でよく歌われるのはこの曲でしょうか。歌の文句にも織り込まれていますが彼の故郷・大阪の名所、天満宮や天王寺、住吉大社に御霊神社といったところを紹介しつつ、祭囃子もにぎやかに歌われます。海沼実の「おさるのかごや」によく似た曲ではありますが、こちらの方が関西人らしく景気良くユーモラスです。囃子言葉も力強く、この「よいこらどっこいよっさっさ」が歌で入ってくる冒頭は大変なインパクトです。
調べていて気が付きましたが貴志と海沼は同年の生まれなのですね。

管弦楽伴奏で歌われた録音もあるようですがまだこれは聴いたことがなく、私が愛聴しているのは飄々とした温かみが持ち味だったバリトン歌手・立川清登のもの(Victor)。服部正の「野の羊」とか中田喜直の「結婚」など、ユーモラスな味のある日本歌曲を歌わせたらこの人は絶品でした。この人も若くして亡くなってしまいましたが、長命であれば日本歌曲のポピュラリティももう少しは上がっていたかも知れません。大変残念なことです。

( 2006.11.05 藤井宏行 )


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