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Aubade   Op.6  
  Trois mélodies
朝の歌  
     3つのメロディ 

詩: ポメイ (Louis Pomey,1835-1901) フランス
      Aubade

曲: フォーレ (Gabriel Fauré,1845-1924) フランス   歌詞言語: フランス語


L'oiseau dans le buisson
À salué l'aurore,
Et d'un pâle rayon
L'horizon se colore,

Voici le frais matin!

Pour voir les fleurs à la lumière,
S'ouvrir de toute part,
Entr'ouvre ta paupière,
Ô vierge au doux regard!


La voix de ton amant
A dissipé ton rêve;
Je vois ton rideau blanc
Qui tremble et se soulève,

D'amour signal charmant!

Descends sur ce tapis de mousse
La brise est tiède encor,
Et la lumière est douce,
Accours,ô mon tresor!


小鳥が茂みの中から
朝焼けに挨拶をする
そして一筋の青い光が
地平線を色づかせる

ほら、爽やかな朝だ!

光り輝く花を見るために
それがあちこちで花開いているのを
きみの瞼を開いてごらんよ
おお、優しいまなざしの乙女よ!


きみの恋人の声が
きみの夢を追い払ったんだ
ぼくには見える、きみの部屋の白いカーテンが
揺れて、広げられるのが

それは愛、素敵なしるし!

苔のカーペットの上に降りておいでよ
そよ風はまだ暖かく
光は優しい
走っておいで、おおぼくの宝物!


以前ここでご紹介したメゾソプラノ歌手&作曲家のポーリーヌ・ヴィアルド=ガルシア(1821-1910)は芸術サロンの花として、自邸で開いたサロンで若い詩人や作曲家を引き合わせていたりもしていたようです。この曲の詩を書いたルイ・ポメイという人はそんなサロンにたむろしていた詩人のひとりのようで、このヴィアルド=ガルシアが作曲した歌曲に良く名前が見られます。
若き日のフォーレも、芸術上の刺激を求めてか?はたまた世に出るコネを探しになのかは分かりませんが、このヴィアルド=ガルシアのサロンに行っていたようです。実は調べてみると彼はこのポーリーヌの三女マリアンヌと婚約し、そしてのちにその婚約を破棄されたという経歴を持っていたのでした。この不幸な婚約解消は彼に「ある一日の歌」の中のこんな曲を書かせるほどショックだったようですが、それくらいこのヴィアルド一家と関係が深かったのでした。そして恐らくこのサロンで詩人ポメイと知り合ったのでしょうか。彼の詩による歌曲を1曲だけ書いています。
(もっとたくさん書いているのかも知れませんが、現在残っているのはこの曲のみのようです)
今やこのポメイという人、歴史からはほとんど忘れ去られてしまっていますが、ヴィアルドのところで取り上げた歌といいこの曲といい、まるで歌謡曲と見まがうばかりの詩は何とも面白いです(何だかアイドルポップの歌詞みたいだなあ、と思いながら訳してみました。大瀧詠一メロディあたりがすごくハマりそう...そんな感じの雰囲気を感じて下されば有難いです)。

フォーレの付けた曲もピアノの前奏も可愛らしく、この微笑ましいラブソングにぴったりの雰囲気。フォーレの傑作か?と言われると違うような気もしますが、この音楽の愛らしさは魅力的です。どなたか日本語の歌詞を付けてポップス風にアレンジしてみてはいかがでしょう。同じフォーレの「愛の唄」なんかをポップスにアレンジしたコシミハルさんなんかは打ってつけの人ではないかと思いますが。「あそびの音楽館」のJun-Tさんもいかがですか?

( 2006.10.21 藤井宏行 )


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