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The lads in their hundreds    
  A Shropshire Lad
何百人の若者たち  
     シュロップシャーの若者

詩: ハウスマン (Alfred Edward Housman,1859-1936) イングランド
    A Shropshire Lad 23 The lads in their hundreds

曲: バターワース (George Sainton Kaye Butterworth,1885-1916) イギリス   歌詞言語: 英語


The lads in their hundreds to Ludlow come in for the fair,
There's men from the barn and the forge and the mill and the fold,
The lads for the girls and the lads for the liquor are there,
And there with the rest are the lads that will never be old.

There's chaps from the town and the field and the till and the cart,
And many to count are the stalwart,and many the brave,
And many the handsome of face and the handsome of heart,
And few that will carry their looks or their truth to the grave.

I wish one could know them,I wish there were tokens to tell
The fortunate fellows that now you can never discern;
And then one could talk with them friendly and wish them farewell
And watch them depart on the way that they will not return.

But now you may stare as you like and there's nothing to scan;
And brushing your elbow unguessed at and not to be told
They carry back bright to the coiner the mintage of man,
The lads that will die in their glory and never be old.

市場目指してラドロウにやってくる何百人の若者たち
納屋から、鍛冶場から、水車小屋から、羊小屋から来た者もいる
女を追いかける若者や、酒を求める若者もいる
そして中には、決して歳をとらない若者もいる

町から、野から、畑から、馬車からやってきたやつらには
丈夫なやつも多ければ、勇敢なやつも多い
顔が美形なのも多いし、心意気がいいやつも多い
でも、墓に入るまでその姿や心意気を保つやつはほとんどいない

もしそんなやつらを見分けられたらいいのに 見分ける印があればいいのに
今は見つけることのできない、そんな恵まれたやつらを
それができたら、友になれる それができたら お別れができる
二度と戻らぬ旅路に出る彼らを見送ることができるのに

だが今は思いのままに眺めても 誰をも見つけるすべはない
きみの肘の先をかすめ、気付かれることも話しかけられることもなく
彼らは輝いたまま、また人生を輝かせる再生工場へと戻っていくのだ
そんな若者たちは栄光のうちに死に、そして決して老いることはない


意味深長な詩です。恐らく永遠に歳を取らない若者というのはまさに若くして死んでしまった若者のことを言っているのだと思います。輝いたままで二度と帰らぬ旅に出る、とあるのはそういうことでしょう。それは自ら命を絶つというよりは、この詩集によく出てくる戦地で死に行く若者たちのイメージだと私は感じ取りました。the mintage of manというのは面白い言い回しですね。人間貨幣鋳造所というのが直訳で、炉で熔かされてピカピカのお金になって甦るという感じでしょうか。ラドロウというのはシュロップシャーにある町の名前。この地に詩人のハウスマンは今眠っているのだそうです。
バッハのカンタータのような端整な旋律が、この歌曲集の他の曲と違った雰囲気を醸し出しています。神々しい雰囲気なのですが、それはこの世に対する深い絶望と裏腹。そんな虚無感を表すにはこの精妙さが重要なのでしょう。激しいドラマもクライマックスもなく、ひたすら淡々と歌われますが、そこが非常に印象に残るのです。ちなみにハウスマンの詩集ではこの詩は23番目にあたります。

( 2006.10.21 藤井宏行 )


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