Schluß-stück Op.135-11 Symphony no. 14 |
結び 交響曲第14番「死者の歌」 |
Der Tod ist groß. Wir sind die Seinen lachenden Munds. Wenn wir uns mitten im Leben meinen, wagt er zu weinen mitten in uns. |
死は偉大だ われらは死の一族 笑う口にすぎない われらが生の只中で物思うときも 死は嘆き悲しんでいる われらの只中で |
これもシールマンのロシア語訳ではけっこう分かりやすい内容ですが、リルケの原詩はかなり難解です。私たちが彼(死)の口って?(口に咥えられているというのなら分からんでもないですが) 何で死が嘆き悲しむの?などと謎はかなり残るのですが、意味があまりよく掴めないままに直訳しておきました。この詩はリルケの中期の傑作「形象詩集」の最後を飾る詩で、そこでのタイトルも同じく「結び」です。この詩集の最後の部分には死にまつわる詩が集められているようで、その最後がこの短くも謎めいた詩なのです。
打楽器がドカチャカ鳴る中、2人の歌手が声を揃えて“Der Tod ist gross“とキビキビと歌い、あっという間に終わってしまうのは本当に身も蓋もないです。この不思議な作品らしい結末といえばその通りなのですが。
( 2006.09.24 藤井宏行 )