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Le faune   L 104  
  Fêtes Galantes I
半獣神  
     艶なる宴U

詩: ヴェルレーヌ (Paul Verlaine,1844-1896) フランス
    Fêtes galantes 14 Le faune

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Un vieux faune de terre cuite
rit au centre des boulingrins,
présageant sans doute une suite
mauvaise à ces instants sereins,

qui m'ont conduit et t'ont conduite,
mélancoliques pelerins,
jusqu'à cette heure dont la fuite
tournoie au son des tambourins.

古びた素焼きの半獣神が
庭の芝生の真ん中で笑ってる
間違いなくこれから来ることを予測してるんだ
良くないことが、この晴れ間に続いてやってくる

この晴れ間にはぼくが来てきみが来たんだ
物思う巡礼者のようにして
そんな晴れ間はつかの間に逃げ去る
タンバリンの音が鳴り響く間に


左手のピアノは牧神(半獣神)の手にしたタンバリンの音を模しているのでしょうか。マジー・テイトの歌のピアノ伴奏をしているアルフレッド・コルトーの録音では鍵盤が当たる音が本物の太鼓のように聴こえて大変面白い響きです。中近東の響きさえ聞こえてくるオリエンタルな異国趣味が、恐らくメソポタミアあたりを起源として持つ半獣神をうまく表しているのでしょう。ドビュッシーにはやはり同じ半獣神が出てくる「牧神の午後の前奏曲」というもっと物憂げな美しい管弦楽作品がありますが、こちらの歌曲のピアノ伴奏の右手は同じようなパンの笛の響きをもっと妖しげに響かせています。そりゃまあ半獣神ですから人外の者、妖しい音楽を鳴らす方が理には適っていますけれども...

( 2006.09.08 藤井宏行 )


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