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Au bord de l'eau   Op.8  
  Trois mélodies
河のほとりで  
     3つのメロディ 

詩: シュリュ=プリュドム (René-François Sully-Prudhomme,1839-1907) フランス
    Les vaines tendresses 4 Au bord de l'eau (1872頃)

曲: フォーレ (Gabriel Fauré,1845-1924) フランス   歌詞言語: フランス語


S'asseoir tous deux au bord du flot qui passe,
Le voir passer,
Tous deux s'il glisse un nuage en l'espace,
Le voir glisser,

À l'horizon s'il fume un toit de chaume
Le voir fumer,
Aux alentours si quelque fleur embaume
S'en embaumer,

Entendre au pied du saule où l'eau murmure
L'eau murmurer,
Ne pas sentir tant que ce rêve dure
Le temps durer.

Mais n'apportant de passion profonde
Qu'à s'adorer,
Sans nul souci des querelles du monde
Les ignorer;

Et seuls tous deux devant tout ce qui lasse
Sans se lasser,
Sentir l'amour devant tout ce qui passe
Ne point passer!

ふたりいっしょに川の流れのそばに座り
流れを見つめていた
空にただよう雲をいっしょに見上げ
雲を見つめていた

遠く地平線の、わらぶき屋根から昇る煙を
煙を見つめていた
まわりの花の香りに囲まれながら
その香りに浸っていた

柳の下をささやく水のせせらぎを聞いていた
流れのささやきを
この夢の続く間は何も考えず
時を忘れていた

それでも熱い情熱に駆られることもなく
互いを想い合っていた
世の中の争いごとを気にかけることもせず
それらを忘れて

目の前のうんざりするすべてのものにも
ふたり一緒なら嫌にならず
目の前のうつろいゆくすべてのものの前でも
変わらぬ愛を感じてた


「ゆく河の流れは絶えずして」の方丈記のフレーズが思わず連想させるような音楽です。詩だけみるとつかの間の幸せに浸っている恋人たちの情景なのですが、フォーレはここに短調のとっても切ないメロディを付けたものですから、その幸せのはかなさが強調されるような仕上がりになりました。フランス歌曲では良く名前を目にする高踏派詩人シュリュ=プリュドムの詩につけた歌曲の中でも指折りの傑作ではないかと思いますが皆様はいかがお感じでしょうか。フォーレの歌曲の中でもけっこうファンの多い作品だと思います。こういう歌はアメリンクは巧いですね。

( 2006.09.01 藤井宏行 )


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