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Testament    
 
テスタメント(遺言)  
    

詩: シルヴェストル,アルマン (Paul-Armand Silvestre,1837-1901) フランス
      Testament

曲: デュパルク (Eugène Marie Henri Fouques Duparc,1848-1933) フランス   歌詞言語: フランス語


Pour que le vent te les apporte
Sur l'aile noire d'un remord,
J'écrirai sur la feuille morte
Les tortures de mon coeur mort!

Toute ma sève s'est tarie
Aux clairs midis de ta beauté,
Et,comme à la feuille flétrie,
Rien de vivant ne m'est resté;

Tes yeux m'ont brûlé jusqu'à l'âme,
Comme des soleils sans merci!
Feuille que le gouffre réclame,
L'autan va m'emporter aussi...

Mais avant,pour qu'il te les porte
Sur l'aile noire d'un remord,
J'écrirai sur la feuille morte
Les tortures de mon coeur mort!

風がお前のもとに運んでくれるだろう
この黒い後悔の翼に乗せて
そう私は枯葉に書こう
私の死んだ心の苦しみを

私の力はすべて枯れ果てた
お前の美しさの輝きの前に
そしてこの枯葉のように
私の中には精気に満ちたものはもう何もない

お前の瞳は、私の心の底まで焼き尽くしたのだ
情け容赦ない太陽の光のように
そして深みに落ちていく枯葉のように
南の風が私を運んでいく

だが、風がお前のもとに最初に運んでくれるだろう
この黒い後悔の翼に乗せて
そう私は枯葉に書こう
私の死んだ心の苦しみを

フォーレのいくつかの歌曲で知られた高踏派詩人シルヴェストルの詩につけた歌曲です。詩はなんだか感傷に浸りきっているような感じでシルヴェストルにしてはあまり出来の良いもののようには思えませんでしたが、この曲もワーグナー風の音楽。濃密さが心地良いですのでデュパルクの傑作歌曲として残っているのも頷けるような作品ではあるのですが。
感じとしては、ひと夏の恋でボロボロになった心で、秋の枯葉を眺めて思わず出た恨み言といった感じでしょうか。そう読むとけっこう詩の方も濃密と言えなくもありませんから音楽にぴったりとハマっていると言えなくもありません。

( 2006.08.20 藤井宏行 )


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