Gde ty,zvjozdochka |
おまえはどこだ、小さな星よ |
Gde ty,zvjozdochka,akh,gde ty,jasnaja? Il' zatmilasja tuchej chjornoju, Tuchej chjornoju,tuchej mrachnoju? Gde ty,devica,gde ty,krasnaja? Il' pokinula druga milogo, Druga milogo,nenagljadnogo? Tucha chjornaja skryla zvjozdochku, Zemlja khladnaja vzjala devicu. |
おまえはどこだ、小さな星よ、ああ、おまえはどこだ、輝きは? 黒い雲に覆われてしまったのか 黒い雲、陰鬱な雲に? おまえはどこだ、少女よ、おまえはどこだ、可愛い娘よ? この誠実な友をおいて行ってしまったのか 誠実な友、恋人を? 黒雲は小さな星を隠し 冷たい大地は少女をさらっていった |
ムソルグスキーの最初の歌曲作品ですが、すでに彼の個性が出た傑作ではないかと思います。浸り込むようなメロディはたいへんに美しく、この悲しくも幻想的な情景を歌にしています。グリンカやダルゴムイシスキーの歌曲を思わせるようなところもありますが(あるいはラフマニノフあたりの感傷的に美しいメロディの感じも)、でもこの味わいはやはり彼ならでは。けっこう多くの録音がある人気曲です。「冷たい大地は少女をさらっていった」とはもちろん永遠の別れのことで、決して少女がこの男を振ったという話ではありません。
こういうしみじみと感傷に浸る歌ではやはりヴィシネフスカヤのが最高の演奏でしょうか。EMIへの録音が彼女の傘寿を記念して今年復刻されるようですのでぜひ。ムソルグスキーやリムスキーコルサコフ、ショスタコーヴィチなんかの名唱を集めた大傑作アルバムです。
( 2006.08.10 藤井宏行 )
当初「赤毛の娘」と訳していましたkrasnajaですが(krasnoというのが「赤」を意味するようでしたので)、さる方よりこれはkrasna devitsa(美しい乙女)という民謡などでよく見られる言い回しのkrasnaと同じで枕詞的な使い方である、とのご指摘を頂きましたので「可愛い娘」に修正させていただきました。ご指摘ありがとうございます。勉強になりました。
( 2007.08.07 藤井宏行 )