曇 天 在りし日の歌 |
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ある朝 僕は 空の 中に 黒い 旗が はためくを 見た はたはた それは はためいて いたが、 音は きこえぬ 高きが ゆえに 手繰(たぐ)り 下ろそうと 僕は したが 綱も なければ それも 叶わず 旗は はたはた はためく ばかり 空の 奥処(おくが)に 舞い入る 如(ごと)く かかる 朝(あした)を 少年の 日も 屡々(しばしば) 見たりと 僕は 憶(おも)う かの時は そを 野原の 上に 今はた 都会の 甍(いらか)の 上に かの時 この時 時は 隔つれ 此処(ここ)と 彼処(かしこ)と 所は 異(ことな)れ はたはた はたはた み空に ひとり いまも 渝(かわ)らぬ かの 黒旗よ |
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( 2019.08.25 藤井宏行 )