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Lamento    
 
哀歌(ラメント)  
    

詩: ゴーティエ (Théophile Gautier,1811-1872) フランス
    La Comédie de la Mort  Lamento

曲: デュパルク (Eugène Marie Henri Fouques Duparc,1848-1933) フランス   歌詞言語: フランス語


Connaissez-vous la blanche tombe,
Où flotte avec un son plaintif
L'ombre d'un if?
Sur l'if une pâle colombe,
Triste et seule au soleil couchant,
Chante son chant:

On dirait que l'âme éveillée
Pleure sous terre à l'unisson
De la chanson,
Et du malheur d'être oubliée
Se plaint dans un roucoulement
Bien doucement.

Oh! jamais plus près de la tombe,
Je n'irai,quand descend le soir
Au manteau noir,
Écouter la pâle colombe
Chanter sur la pointe de l'if
Son chant plaintif.


白いお墓を知っているかい?
哀しげな音をさせて
イチイの木の影が揺れるところ
木の上には青ざめたハトが
沈み行く夕日の中、ひとり悲しそうに
歌を歌っている

みな思うのだろう、目覚めた魂が
地下で声をそろえて泣いているようだと
その歌と一緒に
そして嘆き悲しむ、忘れられた人を思い
悲しげに啼きながら
とても穏やかに

ああ、もういやだ、こんな墓場の近くには
もう絶対行くものか 夜がこうしてやってくる時に
黒いマントを着て
聞きになど 蒼ざめた鳩が
イチイの枝の上で
不気味な歌を歌うのを!

これはベルリオーズの歌曲集「夏の夜」の第5曲 墓地にてと同じゴーティエの詩に付けている歌曲です。ただデュパルクは大胆にも全体のうちで第1・3・6連のみを取り出してあとはカットしてしまいました。おかげで女の幽霊だとかも出てこなくなってしまい、いまひとつ情景が分かりにくくなってしまったきらいもあります。詩が全体でどういう流れになっているのかはベルリオーズの方でご確認ください。

ベルリオーズの曲では女声で聴くことが多かったので女性っぽく訳しましたが、こちらは男声で歌われるものの方が多いように思えるので男っぽく訳し変えてみましたが、なんとなく情けない雰囲気になってしまいました。
ヨーロッパのお化けのシーズンはどちらかというと暗く寂しい冬なのですが、日本ではちょうど8月ころということで、納涼の意味もこめてこの時期にUPすることにします。あんまりおどろおどろしい感じはないのですが、墓地に行くキモダメシといった趣がなんとも面白いですので...

( 2006.08.04 藤井宏行 )


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