Net,bil baraban pered smutnym polkom Op.143-5 Shest’ stikhotvorenii Marini Tsvetaevoj |
違う、太鼓を反逆の連隊の前で打ったのだ マリーナ・ツヴェターエワの詩による6つの歌曲 |
Net,bil baraban pered smutnym polkom, Kogda my vozhdja khoronili: To zuby tsarevy nad mertvym pevtsom Pochetnuju drob’ vyvodili. Takoj uzh pochet,chto blizhajshim druz’jam -- Net mesta. V izglav’i,v iznozh’i, I sprava,i sleva -- ruchishchi po shvam -- Zhandarmskie grudi i rozhi. Ne divo li -- i na tishajshem iz lozh Prebyt’ podnadzornym mal’chishkoj? Na chto-to,na chto-to,na chto-to pokhozh Pochet sej,pochetno -- da slishkom! Gljadi,mol,strana,kak,molve vopreki, Monarkh o poete pechetsja! Pochetno -- pochetno -- pochetno -- arkhi- pochetno,-- pochetno -- do chertu! Kogo zh eto tak -- tochno vory vora Pristrelennogo -- vynosili? Izmennika? Net. S prokhodnogo dvora -- Umnejshego muzha Rossii. |
違う、太鼓を反逆の連隊の前で打ったのだ ひとりの指導者を葬ったそのときに 皇帝の歯が死んだ歌い手の上で 尊敬のあまりカタカタと鳴ったような響きで その栄誉は、最も親しい友人たちでさえも 受けることはかなわない、頭のてっぺんからつま先まで そして右も左も直立不動の 憲兵どもの胸と顔に囲まれて 奇妙ではないか-もっとも静かな床にあっても 監視され続けている男であるというのは? 何かに、何かに、何かと似ているのだこれは 名誉、そう名誉なことだ、あまりにも! 見るが良い、祖国よ、噂に反して 君主は詩人を賞賛していたというのだ 栄誉をもって、栄誉、栄誉 栄誉、栄誉、全くだ! では誰がいったい-悪党どもが仲間を 撃ち殺された仲間を運び出したように運び出したのだ? 裏切り者をか? いや裏庭から運び出されたのは ロシアで最も賢い男だ! |
これも前の曲と同じく「プーシキンに捧ぐ詩 STIKHI K PUSHKINU」から取られた一節です。存命中は思い切りヒドイ目に遭わせておきながら、決闘で死んだプーシキンを死してから褒めたたえるような姑息なことをしている権力者に対する告発は強烈です。といいつつもこの詩はとても難解で私にはいまひとつ内容が良く分かりません。ロシア歌曲の訳詩では丁寧な翻訳で多くの場合に非常に参考となるウサミナオキ氏の訳でもこいつはさっぱりワケが分からなかったので、まあ私のようなロシア語初心者には仕方ないかな、とも思うのですが、ちょっとは辻褄が通るようには工夫してみました。
「カタカタ鳴る皇帝の歯」というのは小太鼓の連打の表現でしょう。プーシキンの埋葬のときの葬送音楽に、この詩人は皇帝の偽善を聞いている...
最も静かな床、というのはもちろん死の床でしょう。葬送においてさえも(信奉者の挙動が気になるので)憲兵たちに周囲を囲ませて監視の目を緩めない、「名誉(栄誉)」という言葉を連呼しながらこれはもの凄い皮肉な使い方です。そんな感じに読めましたのでそういう風にまとめてみましたが皆様はいかがお感じでしょうか。
小太鼓の響きに絡めてちょっとキッチュなマーチが続きます。交響曲第7番「レニングラード」、あの第1楽章のあのドイツ軍の進軍を描いたといわれるマーチを思わせるような旋律ですが、歌はやはりここでも怒りに満ちています。
( 2006.06.30 藤井宏行 )