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Amapola    
 
アマポーラ  
    

詩: ロルダン (Luis Roldán,1894-1943) アルゼンチン
      

曲: ラカーリェ (José María Lacalle García,1860-1937) スペイン   歌詞言語: スペイン語


De amor en los hierros de tu reja
De amor escuché la triste queja
De amor eschuche a mi corazón
Diciéndome así esta dulce canción


Amapola lindisima amapola
Será siempre mi alma tuya sola
Yo te quiero amada niña mia
Iqual que ama la flor la luz del día

Amapola,lindisima amapola
no seas tan ingrata y ámame
Amapola amapola
Cómo puedes tú vivir tan sola?

愛ゆえに きみの窓格子に
愛ゆえに 悲しき嘆きを聞く
愛ゆえに ぼくの心に鳴り響き
ぼくに甘い歌をささやきかける


アマポーラ、最高に美しいアマポーラ
ぼくの魂はいつだって君だけのものだ
ぼくは君が好きだよ いとしい乙女よ
太陽の光を花が好きなように

アマポーラ、最高に美しいアマポーラ
冷たくしないで、ぼくを愛して
アマポーラ、アマポーラ
どうしてきみはひとりで生きていけるの?

1922年に(1924という説も)メキシコで書かれ、その後アメリカではジミー・ドーシー・オーケストラによる演奏で(1941頃)、またフランスではティノ・ロッシの甘いハイテナーで歌われて大流行した歌です。その後も84年の映画「ワンス・アポン・ア・タイム・アメリカ」で効果的な使われ方をしたり、日本でも自動車のCMに使われたりと今やラテン音楽を代表するラブソングとなった感もある名曲です。
日本でも山下達郎や沢田研二なんて人がアルバムに入れていたりするのですが、やっぱりスペイン語でのオリジナルをここでは(著作権も切れているようですし)取り上げてみたいと思います。

最初の悲しげなメロディが、「アマポーラ」という呼びかけと共に甘く優しいハバネラに変わるところ、確かに大ヒットするのも頷ける名旋律です。その後ここはルンバのリズムに変えられたようですが、やっぱりここはハバネラの方が味があります。また悲しげな部分を省いてサビの「アマポーラ」からいきなり入る歌手の方もあるようですが、この悲しい旋律が最初にあってこそのこのベタ甘のメロディですからたいへんにもったいない気がします。アマポーラとはひなげしの花のこと。スペインでは真っ赤なこの花が一面に咲き誇る風景が5〜6月にかけて見られるのだそうです。ここではこの花をつれない恋人にたとえて歌っています。割とどうでも良いことですが、この曲をネットでいろいろ調べているときに詩人の黛まどかさんのサイトに行き着いたのですが、なんとこのアマポーラ、俳句の夏の季語なんですね。アマポーラを詠んだ句も紹介されていましたのでご興味おありの方は探してみてください。

作曲者のラカーリャについてはスペイン生まれということだけはわかっているようですが、あとはあまり分かっていない人のようです。更に分かっていないのは作詞者のロルダン、ひどい音盤になるとオリジナルのスペイン語詞を載せているにも関わらず作詞者にこの歌の英語詞を書いたアルバート・ゲイムズの名を出しているのもあるほどです。まあポピュラーソングは作詞作曲者よりも歌い手の方がクローズアップされることが多いので驚くには及ばないことではあるのですが...

クラシック系ではやはりというか、スペイン出身のカレーラスやドミンゴが録音しているようです。が、残念ながら私はまだ聴いたことがありません。今の私のお気に入りはペルー出身の甘い声のテナー、ルイジ・アルヴァが歌ったもの(Decca)。この曲の解釈としてこれ以上ないというとろけるような味わいで聴かせてくれています。

( 2006.06.03 藤井宏行 )


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