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Vertrauen    
  Japanischer Frühling
信頼  
     歌曲集「日本の春」

詩: ベートゲ (Hans Bethge,1876-1946) ドイツ
    Japanischer Frühling 27 Vertrauen (UNBEKANNTE DICHTER aus der Sammlung MANYOSHU) 原詩:万葉集 ,

曲: ベン=ハイム (Paul Ben-Haim,1897-1985) ドイツ→イスラエル   歌詞言語: ドイツ語


Die Mutter hat aufs strengste mir verboten,
An deiner Brust zu schlafen,mein Geliebter,
Obwohl mir das Orakel klar verhiess,
Dass ich dereinst die Deine werden soll.
So lauter wie das nie getrübte Wasser
Des Teiches von Kiyosmi ist mein Herz
Und ist so tief auch wie der Grund des Teiches,
Und immer wird es deiner treu gedenken
Und wird vertrauend harren in Geduld,
Bis dass ich ganz mit dir vereinigt bin.

母は決して許してくれないわ
あなたの胸で眠ることなんか
でもお告げはわたしにこういっている
わたしはあなたのものになるのだと
清澄の池の水が決して曇らないように
私の気持ちも澄んでいるし
池の底が深いように、私の心も深い
いつでもあなたのことを考え続けている
そしてじっと待ち続けてる
あなたと完全に結ばれるその日まで


3曲目は女性歌人の歌。これも万葉集からの歌で詠み人不詳のものなのだそうです。万葉集の原詩も見つけることができましたが、説明くさくてそんなに傑作という感じはしませんでした。ただそれからインスピレーションを広げているベートゲの創作はラブソングとしてけっこう面白いです。今の歌謡曲にも通じるメンタリティが微笑を誘いますし、この歌のタイトルに”Vertrauen(信頼)”という言葉を持ってきているところからとても粋ではないでしょうか。なおベートゲの詩でも使われている「清隅の池」というのがこちらもどこにあるのかは現在でも不詳だとのことです。

  御佩(みはかし)を 剣の池の 蓮葉(はちすは)に
  渟(たま)れる水の 行方無み わがする時に 逢ふべしと
  逢ひたる君を な寝そと 母聞(きこ)せども わが情(こころ)
  清隅(きよすみ)の池の 池の底 われは忘れじ ただに逢ふまでに 

ベン-ハイムの付けた曲もお洒落なポップソングという雰囲気。チェロとの掛け合いが良い感じを出しています。

( 2006.06.03 藤井宏行 )


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