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Absence   Op.7-4  
  Les Nuits d'Été
君なくて  
     夏の夜

詩: ゴーティエ (Théophile Gautier,1811-1872) フランス
    La Comédie de la Mort  Absence (1838)

曲: ベルリオーズ (Louis Hector Berlioz,1803-1869) フランス   歌詞言語: フランス語


Reviens,reviens,ma bien-aimée!
Comme une fleur loin du soleil,
La fleur de ma vie est fermée
Loin de ton sourire vermeil!

Entre nos coeurs,quelle distance!
Tant d'espace entre nos baisers!
O sort amer,ô dure absence!
O grands désirs inapaisés!

Reviens,reviens ma bien-aimée!
Comme une fleur loin du soleil,
La fleur de ma vie est fermée
Loin de ton sourire vermeil!

D'ici là-bas que de campagnes,
Que de villes et de hameaux,
Que de vallons et de montagnes,
A lasser le pied des chevaux!

Reviens,reviens ma bien-aimée!
Comme une fleur loin du soleil,
La fleur de ma vie est fermée
Loin de ton sourire vermeil!


帰ってきて、帰ってきて、恋しい人よ!
太陽から遠く離された花のように
あたしの人生の花はしぼんでしまった
あなたのバラ色のほほえみから離れて!

あたしたちの心はなんて離れてしまったの!
あたしたちのくちづけの間にはなんて隙間ができたの!
ああ、むごい定め、ああ、残酷な別れ
ああ、この満たされない望み!

帰ってきて、帰ってきて、恋しい人よ!
太陽から遠く離された花のように
あたしの人生の花はしぼんでしまった
あなたのバラ色のほほえみから離れて!

あたしからあなたのところへは何て遠いの!
間に何てたくさんの町や村があるの!
何てたくさんの山や谷があるの
馬のひづめを弱らせる程の!

帰ってきて、帰ってきて、恋しい人よ!
太陽から遠く離された花のように
あたしの人生の花はしぼんでしまった
あなたのバラ色のほほえみから離れて!


管弦楽伴奏では冒頭に鳴るのをはじめ、3回出てくる「帰ってきて」のフレーズと掛け合う木管と弦の和声が大変印象的なこの曲、見た感じ詩はとても稚拙なのですが(ゴーティエもあえてそういう幼さを狙って書いたかのよう)、歌になると大変映えるような気がします。
「入り江にて」と入れ替わってこちらが第3曲目になる版もあるようですが(こちらの方がオリジナル?と書いている解説もありましたが)、この歌曲集、順番をいろいろと入れ替えて歌われたり、単独でその中の数曲から取り上げられることも多いのでまああまり順番は気にしないでいただければ幸いです。
なくした恋の歌ではありますが、穏やかに昔の楽しい思い出を懐かしむようなゆったりした音楽が大変に心地よいです。これもまたヴェルディのオペラのアリアのような濃密さがフランス歌曲の中でも一線を画していますので、レオンタイン・プライスやジェシー・ノーマンのような濃密系の歌手の方がこの曲ではけっこう好ましく聴けました。

( 2006.04.30 藤井宏行 )


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