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Sérénade    
 
セレナーデ  
    

詩: マルク (Gabriel Marc,1840-1931) フランス
      

曲: デュパルク (Eugène Marie Henri Fouques Duparc,1848-1933) フランス   歌詞言語: フランス語


Si j'étais,ô mon amoureuse,
La brise au souffle parfumé,
Pour frôler ta bouche rieuse,
Je viendrais craintif et charmé.

Si j'étais l'abeille qui vole,
Ou le papillon séducteur,
Tu ne me verrais pas,frivole,
Te quitter pour une autre fleur.

Si j'étais la rose charmante
Que ta main place sur ton coeur,
Si près de toi toute tremblante
Je me fanerais de bonheur.

Mais en vain je cherche à te plaire,
J'ai beau gémir et soupirer.
Je suis homme,et que puis-je faire? -
T'aimer... Te le dire ... Et pleurer!

もしぼくが、おお恋人よ
かぐわしい吐息のそよ風だったなら
あなたの可愛い口元をなでようと
ぼくはびくびくしながらも心躍らせてやってくるのに

もしぼくが空飛ぶ蜂だったら
でなければ浮気者の蝶々だったとしても
あなたはけっして浮気なぼくを見ることはないだろう
あなたを残して別の花に渡り歩くぼくを

もしぼくが美しいバラだったら
あなたの手で胸元に置いてくれるバラだったら
あまりに君の近くにいられるからとうちふるえ
幸せで気を失ってしまうだろう

だが、むなしくぼくはあなたに好かれようと
苦しみ、嘆いているだけなんだ
ぼくはただの男だ、そんなやつに何ができる?
あなたを愛し、思いを伝え、そして涙を流すことだけだ!


20歳の若書きの作品で、最初に出版された後は長らく封印されていました。それもあってデュパルクの歌曲の中ではあまり取り上げられない曲で、私もほとんど耳にする機会はなかったのですが、オーストリアのバリトン、ウォルフガング・ホルツマイヤーが歌ったこの曲の録音を聴いて結構痺れてしまいました。彼はパンゼラやモラーヌのようなハイバリトンなので、デュパルクの歌曲には打ってつけの声です。そして彼らフランスの大御所が録音しなかったこの隠れた名曲を歌ってくれているのですから、それはとても貴重な歌唱です。このCD、最初のフォーレにしてからが「シャイロック」からのシャンソンとマドリガルという非常に渋い選曲をしているのをはじめ、非常によく考えられているフランス歌曲集、彼がオーストリア出身であることもあるのでしょうか、ちょっと不思議な味わいのアルバムです。
「ミニョンのロマンス」にしても「ギャロップ」にしても、最近発見されたデュパルクの曲は彼自身が破棄した気持ちも分かるような感じですが、このセレナーデだけは私はそれまでの12曲と遜色ないほど魅力的な音楽だと思いました。詩もなんとも良い感じなのでちょっと気合を入れて訳してみましたがいかがなものでしょうか。

全集録音では、Naxosにあるテノールのポール・グローヴズのものがコストパフォーマンスが非常によろしくお勧めです。ピアノ伴奏のヴィニョルズ含め好演です。

( 2006.04.28 藤井宏行 )


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