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ぶらんこ    
 
 
    

詩: 都築益世 (Tsuduki Masuyo,1898-1983) 日本
      

曲: 芥川也寸志 (Akutagawa Yasushi,1925-1989) 日本   歌詞言語: 日本語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください


芥川也寸志さんには、ラヴェルの「マダガスカル島民の歌」を意識して作ったとしか思えない「パプア島土蛮の歌」という怪作もありますが、やはり後世に確実に残るのはシンプルで美しい童謡の方だろうということで、氏の遺した数々の名旋律の中から、「ことりはとっても歌が好き」の「ことりのうた」や、「こおろぎちろちろりん」の「こおろぎ」(これは児童合唱で聴くととても素晴らしい)などにも心ひかれつつも、やはりもっとも魅力的なこの曲を取り上げたいと思います。
「ぶらんこゆれて、おそらもゆれる」と、子供が書いたかのような素朴この上ない詩に、目をつぶれば自分も揺れているかのようなゆったりしたメロディが付けられました。恐らく日本で幼稚園に通った経験のある人なら、この曲はきっと体に染み付いているのでは?とさえ思います。
(2番の詞は残念ながら作為が強すぎて純真さが薄れてしまっていますが)
クラシック系の作曲家とされる人(やそのファン)は、とかく交響作品やオペラなどの大作が残ることを良しとし、それを目指して全精力を傾けるということも多いような気もしますが、作った作品が民謡やわらべ歌のようになって残る方がよほど素敵なことのように私は思いますし、私が好む作曲家もそういう人が多いような気がします。その意味では芥川氏は、草川信?中田喜直の流れに繋がる偉大な童謡作曲家として私は敬服しているのです。
この曲に関しては、私はどのような形態、どのような編曲になっても気に入らない演奏に出会ったことはありません。
それこそが後世に残る童謡たる所以なのでしょうか。

( 2001.01.10 藤井宏行 )


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