TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Aurore   Op.39  
  Quatre mélodies
夜明け  
     4つのメロディ

詩: シルヴェストル,アルマン (Paul-Armand Silvestre,1837-1901) フランス
    Le Pays de Roses - Impressions et Souvenirs  Aurore

曲: フォーレ (Gabriel Fauré,1845-1924) フランス   歌詞言語: フランス語


Des jardins de la nuit s'envolent les étoiles,
Abeilles d'or qu'attire un invisible miel,
Et l'aube,au loin tendant la candeur de ses toiles,
Trame de fils d'argent le manteau bleu du ciel.

Du jardin de mon coeur qu'un rêve lent enivre
S'envolent mes désirs sur les pas du matin,
Comme un essaim léger qu'à l'horizon de cuivre,
Appelle un chant plaintif,éternel et lointain.

Ils volent à tes pieds,astres chassés des nues,
Exilés du ciel d'or où fleurit ta beauté
Et,cherchant jusqu'à toi des routes inconnues,
Mêlent au jour naissant leur mourante clarté.

夜の庭から星たちが飛び去っていく
見えない蜜に吸い寄せられていく金色のミツバチのように
そして夜明けは、遠くで純白のカンバスを広げて
銀色の糸で空の青いコートを織り上げる

私の心の庭も穏やかな夢にまどろんでいるが
私の想いは朝の到来と共に飛び立っていく
まるでミツバチの群れが赤銅色の地平線へと
嘆きの歌に引き寄せられるように、遠くへ 遠くへ

想いはあなたの足元を目指して飛ぶ、ちょうど星たちが雲に追われて
あなたの美しさが花咲く金色の空から逃げ出していくように
そして見知らぬ道をさまよいながらあなたを探すうちに
その弱弱しい光は 生まれ出る太陽のもとで消え去ってしまうのだ


このAuroreという題は「あけぼの」と訳されることが多いように思いますが、個人的には何となく大相撲の元横綱でK1に行って活躍されている曙関のことを私はどうしても連想してしまうものですから、もう少しシンプルに「夜明け」としました。恋する人を夢に見ながらのまどろみから夜明けと共に目覚めねばならなくなり、そして夜の星が消え去っていくように恋しい人の面影は消え去っていく。しかしただ消え去るのではなく、空想の中で現実のあなたを探し求めていくうちに、だんだん強くなる太陽の光に霞んでしまう、というようなお話と私は読みました。
同時期に書かれた同じフォーレの歌曲「イスファハンのバラ」を思い起こさせるようなゆったりしたメロディはなかなか味わいがあります。第2節「私の心の庭も」のところでちょっと翳りを見せるのは、せっかくの幸せな夢が消え去っていくのを惜しむ心でしょうか。そして第3節でまた冒頭のメロディが戻ってきますが今度はより明るく、力強くなります。まるで朝焼けの輝きがすべてを覆い尽くすかのように...

シルヴェストルの詩に書かれているミツバチや星たちの比喩の中にはどうにも意味が取りにくいものもありましたが、まあこんな感じでご勘弁ください。

( 2006.04.06 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ