沙上 海四章 |
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山の端(は)の雲は薔薇(そうび)に 紅(くれない)にもえもはてたれ なほしばしかぎろふ浦曲(うらわ) 羽しろく砂をかすめて ひとむれの千鳥はかなた 黄昏に まぎれて啼けり そら耳の そらにはあらず そのこゑのありとしもなく ゆきまどひ はたと絶えたれ 折からや月かげあはく なにものの 飛沫なるらん 旅人の頬にしげけり |
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( 2019.01.13 藤井宏行 )