Burja Op.127-5 7 Stikhi Aleksandr Bloka |
嵐 アレクサンデル・ブロークの詩による7つのロマンス |
O Kak bezumno za oknom revjot, Bushujet burja zlaja, Nesutsja tuchi,l'jut dozhdjom, I veter vojet,zamiraja! Uzhasna noch'! V takuju noch' Mne zhal' ljudej,lishjonnykh krova, Sozhalen'je gonit proch' - V ob'jat'ja kholoda syrogo! Borot'sja s mrakom i dozhdjom, Stradalcev uchast' razdeljaja... O,kak bezumno za oknom Bushujet veter,iznyvaja! |
おお、狂ったように窓を叩き 恐ろしい嵐が襲ってくる 雲は湧き上がり、雨が叩きつける うなる風が静寂を打ち破る なんて恐ろしい夜だ! この夜は 気の毒に思う、家を奪われた人たちを 深い同情の気持ちが私を突き動かし 冷たい雨をこの腕に抱かせる! 暗闇と雨に逆らいながら 苦しみを少しでも分かち合おう おお、なんて激しい窓の外の嵐 風はうなり、そして静まる |
これは詩の副題に、
Vy,bednye,nagie neschastlivtsy. Lir
(You,poor,naked unfortunates. - Lear)
とあり、有名なシェイクスピア悲劇の第3幕4場、あの激しい嵐のシーンに彩られたリア王の
嘆きと絶望に触発されて書かれた詩に歌ったものでしょうか。
ずぶ濡れになりながらも不幸な人、虐げられた人たちに共感を歌う、やるせない怒りのような
感情の爆発がなんとも印象深い。ヴァイオリンとピアノの雨音や暴風を表す激しい応酬の中
叫ぶソプラノの声は強烈です。ひとしきり荒れ狂ったあと、唐突に終わってしまう音楽が
歌曲集の中でも不思議な効果を生んでいます。
そういえば「リア王」もまたハムレットと並び、ショスタコーヴィチがこだわりを持っている?と思われる
シェイクスピア戯曲のひとつです。劇伴奏音楽と映画音楽を書いています。
Delosにあるショスタコーヴィチ歌曲全集Vol2、ヴィクトリア・エフトディエヴァのソプラノは
艶があって大変に魅力的、コヴァレンコのヴァイオリンとセーロフのピアノも力強く、
この激しくも印象的な1シーンを美しく描いてくれています。
( 2006.03.17 藤井宏行 )