Gorod spit Op.127-4 7 Stikhi Aleksandr Bloka |
街は眠る アレクサンデル・ブロークの詩による7つのロマンス |
Gorod spit,okutan mgloju, Chut' mercajut fonari... Tam daljoko,za Nevoju, Vizhu otbleski zari. V etom dal'nem otrazhen'ji, V etikh otbleskakh ognja Pritailos' probuzhden'je Dnej,tosklivykh dlja menja... |
街は眠る、もやに包まれて 街のあかりだけが瞬いている... 遥か彼方、ネヴァ川の向こうに 夜明けの光が見える あの遠くの方に映る光にも このきらめくあかりの中にも 隠れているのは新たな目覚めだ 私の悲しき、喜びなき日々の |
これはピアノとチェロが伴奏です。ブロークの、そしてショスタコーヴィチの故郷である
ペテルスブルグの情景。まだ暗い夜明け前のひととき、街灯かりだけが煌々と輝いている。
この街の中であった悲しい出来事を思い出しながらももうすぐまた1日が始まる...
遠くに見える夜明けの光と、間近に見える街のあかり、2つのあかりを見事に織り込んだ
大変素敵な詩だと思います。
この街でもつらいことばかりだったし、今日もまたそうだろう、
静かな歌ではありますが、とても悲しい響きに満ちています。
ここまでヴィシネフスカヤの録音ばかり取り上げてきましたのでここからは別の演奏を。
とはいいつつも私もそんなにたくさんの演奏を聴き比べているわけではありませんが。
この歌曲集は伴奏にピアノ3重奏のメンバーを充てることができますので、よく
ピアノ3重奏曲とのカップリングで出されることがあります。その中でも非常に
鮮烈な演奏として、モスクワトリオの弾いたものが挙げられるでしょう。
とにかく濃密で、重たくて、でも良く歌う...
ステレオタイプの表現で恐縮ですが、まさにロシアの大地を感じさせる見事なものです。
この録音(Chant du Mond)に併録されているブローク歌曲集、歌うのはナターリャ・
ゲラシモワというこれまた濃密なロシアン・ソプラノです。
この曲など、鋸を挽いているかのような野太い音のチェロと、ぶっ壊れそうにガンガンなる
ピアノ、それに一歩も引かない迫力のソプラノと実に凄い演奏になっています。
2曲目の「予言の鳥」や5曲目の「嵐」のような激しい曲はちょっと強烈すぎて私には
ついていけないところがありますが、この曲のように静けさの中に熱情がたぎる曲では
絶品の表現に思えます。
( 2006.03.17 藤井宏行 )