Gamajun ptica veshchaja Op.127-2 7 Stikhi Aleksandr Bloka |
予言の鳥 ガマユーン アレクサンデル・ブロークの詩による7つのロマンス |
Na gladjakh beskonechnykh vod, Zakatom v purpur oblechjonnykh, Ona veshchajet i pojot, Ne v silakh kryl podnjat' smjatjonnykh... Veshchajet igo zlykh tatar, Veshchajet kaznej rjad krovavykh, I trus,i golod,i pozhar, Zlodejev silu,gibel' pravykh... Predvechnym uzhasom ob”jat, Prekrasnyj lik gorit ljubov'ju, No veshchej pravdoju zvuchat Usta,zapekshijesja krov'ju! |
限りなく広がる大海原の果てに 紫色に染まった夕日が沈む 一羽の鳥が歌う、予言する 力なく、震える羽根を上げることすらできずに 鳥は予言する、タタールのくびきを 血を流した幾多の処刑者のことを 戦乱を、飢えを、災害を 悪の隆盛を、正義の喪失を 予言の恐ろしさを包み隠そうと 鳥の美しい顔は愛に燃えている だが、恐ろしい予言を告げ続ける そのくちばしは血に染まるのだ |
第2曲目はピアノ伴奏です。叩きつけるような恐ろしい伴奏に乗って声は恐怖に震えます。
古いロシアの伝承に基づく予言の鳥ガマユーン、これをロシアの画家ヴィクトル・ヴァスネツォフが
描いたものにインスピレーションを得てブロークが書いた詩だとのことです。
絵は”Vasnetsov Gamayun”と入れて検索していただければすぐに見つけることができますので
ご興味おありの方はどうぞ探してみてください。
1930-40年代の恐怖の時代を生きたショスタコーヴィチですが、意外とこんな感じの恐れに満ちた
激しい歌曲は書いていません。それだけにこの曲の緊迫感はひときわ印象的。
詩にある「タタールのくびき」とは、ロシアがチンギス・ハーンのモンゴルに支配された時代のこと。
ロシアでは悪夢の時代として未だに記憶されているのだそうです。
1967年の初演はもともと作曲者がピアノを弾く予定だったのだそうですが、病気のためかなわず
弟子のヴァインベルグ(Moisei Vainberg 1919-1996) が弾くことになりました。このライブ録音がありますが熱気に
溢れた素晴らしい演奏であることが分かります。歌曲集の中でもこの曲だけはヴィシネフスカヤの力強い
歌声の印象が強すぎるせいか他の演奏を聴いてもあまりピンとこなくなってしまいました。
( 2006.03.12 藤井宏行 )