Alcandro,lo confesso . . . Non sò,d'ondo viene K.512 |
アルカンドロよ わしは告白しよう...分からぬのだ どこから来るのかが |
Alcandro,lo confesso, Stupisco di me stesso. II volto,il ciglio, La voce di costui nel cor mi desta Un palpito improvviso, Che le risente in ogni fibra il sangue. Fra tutti i miei pensieri La cagion ne ricerco,e non la trovo. Che sarà,giusti Dei,questo ch'io provo? Non so d'onde viene Quel tenero affetto, Quel moto che ignoto Mi nasce nel petto, Quel gel,che le vene Scorrendo mi va. Nel seno destarmi Sì fieri contrasti Non parmi che basti La sola pietà. |
アルカンドロよ わしは告白しよう わしは自分に驚いておるのだ あの顔 あの瞳 あの男の声がわしの心に掻き立てるのだ 突然の鼓動を それを感じるのだ あらゆる血管の中の血潮が わが考えのうちに わしはその理由を探すが 見つけることができぬ 一体何なのだ 偉大なる神々よ わしが感じているのは? 分からぬのだ どこから来るのかが この穏やかな愛情が この見知らぬ衝動が わしの胸の中で生まれてきた その氷は 血管を うずめき流れゆくのだ この胸に目覚めさせられるとは これほどの激しい相克が わしには思えぬ 十分だとは これがただの同情に過ぎぬとするには |
レシタティーヴォとアリア、カルダーラが作曲しているメタスタージオ台本のオペラ「オリンピアーデ」から。かつて神託によって殺したはずのわが子が今他国の王子として、また捕虜として眼前に引き出されているのを見た王クリスティーネが、なぜだか分からぬ感情に襲われて家臣アルカンドロに語りかけるものです。従ってここでもバスのために歌われるものとして書かれているのですが、モーツァルトはまだ若い頃(1778)、恋した女性歌手アロイジア・ランゲ=ウエーバーのためにこの同じ詞をソプラノのための作品としても書いています(K.294)。
( 2018.12.02 藤井宏行 )