Rivolgete a lui lo sguardo K.584 |
彼に向けてください そのまなざしを |
Rivolgete a lui lo sguardo E vedrete come sta: Tutto dice,io gelo,io ardo Idol mio,pietà,pietà, Io ardo,io gelo,io ardo Idol mio,pietà,pietà, E voi cara un sol momento Il bel ciglio a me volgete E nel mio ritroverete Quel che il labbro dir non sa. Un Orlando innamorato Non è niente in mio confronte; Un Medoro il sen piagato Verso lui per nulla io conto: Son di foco i miei sospiri Son di bronzo i suoi desiri, Se si parla poi di merto Certo io sono e egli è certo Che gli uguali non si trovano Da Vienna al Canadà, Siam due Credi per ricchezza, Due Narcisi per bellezza In amor i Marcantoni Verso noi sarian buffoni Siam più forti d'un ciclopo, Letterati al par di Esopo. Se balliamo un Pichne chede Sì gentil e snello è il piede, Se cantiam col trillo solo Facciam torto all'usignuolo, E qualch'altro capitale Abbiam poi che alcun non sa. Bella,bella,tengon sodo: Se ne vanno ed io ne godo! Eroine di costanza, specchi son di fedeltà |
彼に向けてください そのまなざしを そうすればお分かりでしょう 彼がどんな具合なのかは 全身で言っていますよ ぼくは凍え ぼくは燃える ぼくのアイドルよ お慈悲を お慈悲を ぼくは燃える ぼくは凍え ぼくは燃える ぼくのアイドルよ お慈悲を お慈悲を って それからあなた いとしい人 一瞬でも その美しい瞳を 私に向けてください そうすれば私のうちにあなたは見つけるでしょう この唇が語ることのできないものを 恋に落ちたあのオルランドも 私とは比べものになりません あの胸が傷ついたメードロも 彼にとっては物の数ではありません 炎なのです 私の吐息は 青銅なのです 彼の願望は もし誰かが語ったなら その価値を 私は確信しています 当然ながら 並ぶものなど見つかるはずはないと ウィーンからカナダまで クロイソス並みですし 金持ちであることにおいては 二人のナルシスです その美しさにあっては 愛にかけては マルクス・アントニウスですし 私たちに比べれば 皆 屁みたいなもの 剛力においてはサイクロプスよりも強く 知識にかけてはイソップに並びます もしも踊るならば ピケも尻尾を巻くでしょう それほどしなやかでスリムな足なのですから もしも歌うのなら トリルだけで ナイチンゲールも顔負けでしょう それからその他の資産関係についても 誰も計り知れないものがあるんですよ 結構 結構 身持ちが堅いのも: もし行ってしまって 私はそれを楽しみましょう! 貞節のヒロインたちよ 貞淑の鑑よ |
オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」K.588の第1幕 グリエルモが恋人の貞節を試すため、トルコ人に変装して友人フェルランドと共にフィオルディリージとドラベッラ姉妹の前に現れ、それぞれが互いの恋人に言い寄る場面で歌われるアリア。もともとはこの曲が充てられたようですが結局別のアリアに差し替えられて、この曲は単独のコンサートアリアとして残ったもののようです。
最終的に採用された曲の方の訳詞は「オペラ対訳プロジェクト」の方で行っておりますのでご興味おありの方はご覧ください。
https://www31.atwiki.jp/oper/pages/218.html (半ばあたりの第11場 No.15のアリアです)
詞もそうですが、差し替える前のこの曲はちょっと絢爛豪華で重い感じ。差し変わった有名なアリアの方が自然な流れでメロディも美しく、ずっと素晴らしいものに思えました。もちろんこちらもモーツァルトの天才を反映した楽しい音楽になっています。ちょっと中盤、「フィガロの結婚」の「もう飛ぶまいぞ この蝶々」を思わせる雰囲気になるのはご愛敬でしょう。
( 2018.11.12 藤井宏行 )