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Sie haben heut' abend Gesellschaft    
  Liederstrauss
今夜は彼女のパーティなのだ  
     歌曲集「歌の花束」

詩: ハイネ (Heinrich Heine,1797-1856) ドイツ
    Buch der Lieder - Die Heimkehr(歌の本〜帰郷 1827) 60 Sie haben heut' abend Gesellschaft

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Sie haben heut' abend Gesellschaft
Und das Haus ist lichterfüllt.
Dort oben am hellen Fenster
Bewegt sich ein Schattenbild.

Du siehst mich nicht,im Dunkeln
Steh ich hier unten allein;
Noch wen'ger kannst du schauen
In mein dunkles Herz hinein.

Mein dunkles Herze liebt dich,
Es liebt dich und es bricht,
Es bricht und zuckt und verblutet,
Du aber siehst es nicht.

今夜は彼女のパーティなのだ
その屋敷は灯りに満ちて
上の明るい窓には
彼女の影法師が動いている

君には僕は見えない、暗がりで
下からひとり見上げる僕は;
まして僕の暗い胸のうちが
見通せるわけもない

僕の暗い心は君を愛し
君を愛して傷つき
傷つき震えて血を流す
だが君には見えはしない


ハイネの詩集「歌の本」の詩による歌曲集「歌の花束」は1878年、ヴォルフ弱冠18歳の作曲で、初恋の人ヴァレリー・フランクへの想いが動機となって短期間に成立したとされています。自虐的な疎外感と孤独を表すこの詩は「歌の本」所収の「帰郷」の60番目。ヴォルフの曲は、夜会の舞踊曲の明るいピアノ伴奏が暗い胸のうちと対照されています。
録音はフィッシャー=ディースカウ&ヘル(クラーヴェス)、ゲンツ&ヴィニョールス(ハイペリオン)、テノールのヴァン・ダー・メール(グローブ)の三種があり、いずれも「歌の花束」全7曲。前二者が優れているとは思いますが、珍しい曲でもありますし、テノールによる演奏も捨てがたいです。
 この詩にはプフィッツナーも作曲しています(作品4の2)。

( 2006.02.05 甲斐貴也 )


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