Kot Matros Detskaja |
子猫マトロス 「子供部屋」 |
Aj,aj,aj,aj,mama,milaja mama! Pobezhala ja za zontikom, mama,ochen' ved' zharko, Sharila v komode i v stole iskala: net,kak narochno! Ja vtoropjakh k oknu podbezhala, mozhet byt' zontik tam pozabyla. . . Vdrug vizhu,na okne-to,kot nash Matros, zabravshis' na kletku,skrebjot! Snegir' drozhit,zabilsja v ugol,pishchit. Zlo menja vzjalo! “E,brat,do ptichek ty lakom! Net,postoj,popalsja. Vish'-ty,kot!” Kak ni v chjom ne byvalo stoju ja, smotrju v storonku, Tol'ko glazom odnim podmechaju: stranno chto-to! Kot spokojno v glaza mne smotrit, A sam uzh lapu v kletku zanosit: Tol'ko chto dumal skhvatit' snegirja, a ja jego khlop! Mama,kakaja tvjordaja kletka! Pal'cam tak bol'no,mama! Mama! vot v samykh konchikakh,vot tut, Tak nojet,nojet tak... Net! kakov kot-to,mama,a? |
ねえねえねえねえ、ママ、ねえママ! わたしね、日傘を探してたのよ ママ、だってとっても暑かったんだもの 引き出しの中を引っ張り出して、テーブルの下も見たけれど どこにもなかったの! それで窓のところに行ってみたの そこにわすれてたんじゃないかと思って そしたらねえ、わたし見たの、窓のところで子猫のマトロスが 鳥かごにこっそりと近づいて、かごをひっかこうとしてたのを! カナリアはおびえて、かごのすみっこにちじこまってないてたわ わたし、おこってこう思ったの! 「ねこちゃん、あんた小鳥をいじめるつもり、 ゆるさない、あんたをつかまえちゃうから、みてなさい!」って そして、なんにも気にしていないふりして じっと立ってたの でも子猫をこっそりみてたのよ そしたらへんなの! ねこちゃんもわたしの顔をじっとみてるの でも手は鳥かごのなかに入れていて カナリアをつかまえようとしてるの だから、わたしぶってやった! ママ、なんてかたい鳥かごなの 指がとってもいたいの、ママ! ママ!指さきのここのとこよ、ここと、ここ いたいの、いたいの もう、なんてねこちゃんなの、ね、ママ? |
可愛らしい女の子がママに話しかける快活な歌。最初の呼びかけの「アイアイアイアイアイ マーマ」のところからとても微笑ましいです。ここで出てくるいたずらな子猫の名前はマトロス、これは「船乗り」の意味です。日本でも昔、オランダ語からこの言葉は入ってきていて、昭和30年代くらいまでは「マドロスさん」という言葉で、港酒場の女との一夜のロマンスを演歌に...ってちょっとこの曲のコメントにしてはこれは脱線のしすぎですね。
この曲はあそびの音楽館でのJun-Tさんの訳詞が生き生きとしていてとても好きなので、この訳もそれにかなり影響されてしまいましたが、少しは私のオリジナル性を出すべく、これも原詩にできるだけ沿うように言葉をならべてみました。
残念ながらこの曲、子供部屋でもときどき省略されるみたいで、ゼーフリートの歌ったドイツ語版には入っていませんでした。あるいは演奏効果を考えてか「木馬」と順番を変えて最後の曲にならないようにしている版もあります。そういう意味ではとても可哀想な曲なのですが、よくよく聴くと大変よくできていることが分かります。くるくると変わる表情とリズム、
「子供部屋」の最後を飾るこの曲、ここでは今まで取り上げなかった盤の中で、意外な人が歌っているのを取り上げて締めくくります。
スペインの歌曲、あるいはモーツアルトなどドイツものがお得意の名歌手、テレサ・ベルガンサの録音がClavesにあるのですね。
しかもドイツ語訳でなく、ちゃんとロシア語で歌っています。
今まで取り上げた芸達者たちに比べると割とかっちりと歌っていて、聴いていて面白い、ということはあまり感じないのですが、あのしっとりとした声で丁寧に歌ってくれているので、曲の出来のよさが良く分かります。この歌曲集のファーストチョイスとしてはなかなか良いのではないかと思いました。
そんな彼女も、最後のこの曲だけはちょっと羽目をはずしてお茶目なところを見せてくれます。
TDKコンサートのアーカイブを紹介しているサイトを見たところ、ソプラノのアメリンクが来日公演で歌っていたという記録も見つけました。彼女のことだからきっと原語で歌っていると思いますけれど、この人の「子供部屋」も聴いてみたいものです。
( 2006.01.28 藤井宏行 )