Liebeswerbung Op.15-8 Japanische Blatter |
愛の告白(雄略天皇) 16葉の日本の詩 |
Du schönes,schlankes Mädchen mit dem Korbe, Du schönes,schlankes Mädchen mit dem Spaten, Das dort am Hügel emsig Kräuter pflückt! Sag mir,wo ragt dein Haus,ich bitte dich, Und nenne deinen Namen mir! Im ganzen,Vom Himmel treu geliebten Lande Japan. Bin ich der Herrscher! Und mein Herz wünschtinnig. Dich als Gemahlin heimzuführen, Holde! Ich bitte dich,wer bist du,?sag es mir! |
籠もよ み籠持ち 掘串(ふくし)もよ み掘串持ち この丘に 菜摘ます児 家聞かな 名告(なの)らさね そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居れ しきなべて われこそ座せ われこそは 告らめ 家をも名をも 万葉集 巻1-1 雄略天皇(伝) 花籠を持った美しいスリムなお嬢さん スコップを持った美しいスリムなお嬢さん この丘で一生懸命、菜を摘んでいるのですね あなたはどこの家の人ですか? 教えてください あなたの名前を私に。 ここ大和の国のことごとくは私が支配しているのです その私が心から望んでいるのです あなたが后となってくださることを! さあ教えてください。あなたの名を |
この歌曲集の中でも一番面白かったのがこの『万葉集』の冒頭を飾る雄略天皇の歌(これは長歌なので原詩も長い)です。 ピアノ伴奏のユーモラスな響きに切々と訴えかけるような歌が面白く絡みます。
雄略天皇の歌と言っても実際に雄略天皇が読んだというわけではなく、古くから伝わる歌を『万葉集』編纂の際、雄略天皇の作ということにした、というのが一般的な見解のようですが。
この時代、女性に名前や住んでいる所を聞くこと=求愛という暗黙の了解があったようで、名前を尋ねられて答えてもらえばお付き合いO.K.といった所でしょうか。地位を利用してのナンパもここまでおおらかだと微笑ましいかも?
蝶が舞っているようなゆらめくピアノの響きが美しく、歌のメロディもほんのりとお茶目です。
( 2004.01.18 藤井宏行 )