靖子の好きなトーマス・ハンプソン
伴奏者との相性?
2000/11/16記

    HAMPSONは今まで何人かの伴奏者との録音が有ります。その中でも特に3人の名前が浮かびます。J・Parsons W・リーガー、W・サブァリッシュです。伴奏者はソリストと違って歌手を最大限に生かすことで良い伴奏者と評価されます。その歌手を生かすというのはピアノの技術、表現力が優れているのは勿論として歌手の持てる力のすべてを発揮できるよう支えて行く力がないと務まらないと思います。全くの想像の世界でしかないのですが私的には3人の伴奏者をこんな風に考えています。
J・Parsons
    彼の伴奏は歌手が非常に歌いやすい歌手を包み込む様な演奏をしている。聴いていると伴奏部分では音が柔らかく控え目なのにピアノだけの前奏、後奏中間部分ではきらきらと音が光って聞こえます。歌手に対して「ここはこういう風に演奏してはどうだろうか?」と控え目に提案することは有っても押しつけたりはしない。歌手が心を預けて自然に導かれるような伴奏者ではないでしょうか?。HAMPSONが彼に伴奏をして貰っていたのは30歳代なので導かれることも多かった様な気がします。「マーラーの歌曲」ピアノ伴奏バージョンは最高に好きです。残念ながらParsonsは亡くなられてしまったのでもうこの組み合わせは聞くことが出来ないのが残念です。
W・サヴァリッシュ
    彼の伴奏は、はっきり目指すものに向かって歌手をも引っ張っていく意志があると感じられます。伴奏者では有っても指揮者としての指導力が感じられてHAMPSONも時として暴走しかかる(オペラチックに歌い上げすぎるところ)ところを抑制されているのでは無いでしょうか。録音としてはシューマンの「初稿版、詩人の恋」「冬の旅」R・シュトラウスのオケでの歌曲が有ります。すこしHAMPSONらしからぬ歌い方をしているみたいです。
W・リーガー
    完全にHAMPSONが伴奏者に対してこう歌いたいという意志を持って自分の方向に突き進んでいるように聞こえます。J・Parsonsの死後マーラーはこの人が伴奏していますがややダイナミックに歌い上げているHAMPSONに対してリーガの伴奏がかなり繊細に、神経質に(視覚からそのように弾いると思ってしまいます)付いていっているのでは無いでしょうか?。最近のドイツリートのリサイタルでは殆ど彼が伴奏しているようです。
    歌い易いからと言って必ずしも演奏が良いとは限らないし、抑制されて自分らしく歌えていないからと言っても聴衆から見れば最高に良い演奏と言うことも有るでしょうし人柄とかの相性も有るでしょうし今後どんなアンサンブルを聴かせてくれるのか楽しみです。 またどの様な新しいパートナーと組んで未知なる魅力を私達の前に現してくれるのかとても興味を持っています