闘病の記録
胸部大動脈瘤を手術して

10    大網充填法の処置
 形成再建外科の月野曉彦先生の説明は次の通りです。
 
 縦隔炎(MRSA)による病変の保存的治療では限界があり、感染や壊死悪化によって致命的となりえます。なんらか手術治療が必要です。心臓血管外科で病巣の壊死組織除去と洗浄を行うこととなっていますが、感染部に人工物(人工血管)が残存しているため、そのままでは感染の再発の危険性があります。
 人工血管周囲に血や液体が貯まらないよう血流のよい自己の組織を充填することより成功率が上がると考えられています。そこで、大網という腹腔内の脂肪組織を充填することにしたわけですけれど、これには合併症の可能性が考えらるものの、それを考慮してもこの手術したほうが良いと考え、この治療をお勧めします。ただし、この手術は万能ではなく、この治療を行なっても感染が再発する場合もあります。
 
説明書によると、
1、心臓血管外科:〜壊死組織切除(デブリードマン)洗浄
2、形成外科参加:〜有茎大網移植あるいは腹直筋皮弁、右あるいは左の大腿からの分層植皮
@壊死している部位を切除します。
A出血の程度を見ながら十分に洗浄します。
B腹部切開をして、腹腔内の脂肪組織である大網を採取し、動静脈をつけたまま人工血管部に移動します。
C大網が癒着のため容量が不足する場合は、右腹部の脂肪と腹直筋を人工血管部に移動する場合もあります。
D胸部の創が一期的に縫合できれば縫合します。無理であれば大腿から薄く皮をはいで、欠損部に移植します。
 
 この書類には、手術に伴い発生が予想される<合併症>についても細々と書かれていますが、ここではそれは省略します。また、感染に関して胸骨や肋骨の一部が削り取るとの話を聞いていましたが、その処置も多分この時に実施されたのでしょう。これまでの手術と違うのは、全身麻酔とはいえ、程度はそれほど厳しくなく、手術が終わる直前には、手術に携わる人達の声が聞こえ、冥界からそれを聞いているような気がしました。
 
 

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Last updated: 2014/7/11