「原告・小学校教員からの訴え」
喘ぎ,崖っぷちに立たされる子ども達を
切捨てる教育を許すな

「早ね、早起き、朝ごはん」。食育基本法が導入され、大阪府では、栄養教諭がそれを中心的に担う核として採用されつつあります。この簡潔で、軽やかな響きのあるフレーズは、100マス計算の実践で一躍、有名になったスーパー・ティーチャーの提唱と重なり合って、その取り組みの大きな柱となって、広がっています。このフレーズの結論には、学力が格段に向上するとの極めつけの言葉が用意されています。

ある小学校では、学年全体で2割を越える子どもが朝食を食べず、3割を越える学年もあります。また、3割を越える世帯が就学援助の支給をうけています。これでは、この親たちは、子どもの養育の義務を放棄し、生活体験の未熟や不足等による問題行動を学校に持ち込む、憎むべき対象となってしまうでしょう。

ご存知のように、この提唱者は、来年度、開学する有名私大付属の小学校の広告塔となっています。年間授業料は、優に100万円を超え、給食はホテル食に匹敵する豪華なものだそうです。子どもは、将来約束されている地位に見合ったマナーを学ぶのでしょう。

一方、「学校は、ゴミ箱。教職員はサンドバック」現象が、年々、増加しています。地域や家庭がバラバラにされ、子どもへの過剰な期待が、「自子中心主義」となり、学校への様々な問題が持ち込まれ、それが、 トラブルとなり教職員への回帰できない鋭いストレスとなり、追い詰められた状態を生み出しています。「特色ある学校づくり」実践等の研究・公開授業の増加、研修の強制・授業案の提出等による多忙化と相俟って、教職員の世界では、「のむ、 うつ、かう」の状態にあると言われています。「胃カメラをのむ」。「うつ病」。「宝くじ買って1等当たったら学校辞めたる」。笑えない凄まじい実情になっています。

民間企業と違って、査定や評価のない、非効率で無責任、社会の生きた現実と遠くかけ離れた学校。その教職員の精神的圧迫は、民間の1.4~1.8倍になるとの調査研究機関の報告があります。これでは、要求の背景を見定め、本質に迫る教育本来の取り組みを進める気力すら彼方に追いやられても仕方がないことになるでしょう。教職員攻撃は、政府、文科省によってもたらされた教育荒廃の責任転嫁にあります。

格差が正当であると強弁し、他方、切り裂かれ、社会の最底辺で生きることでしか生を与えない教育を許すことはできません。(義務制教職員N)