生命の遺伝と進化

 

遺伝子

 現在地球上には、人類を含む数多くの生命が生活しています。こられは地球環境に適応しているため、絶滅を免れています。適応性が低い生物は、より高い生物のために絶滅することがあります。恐竜が滅び現在ほ乳類の全盛期となっているのは、より環境の変化にほ乳類が適していたからで す。

 生命は皆、遺伝子 という生命体の設計図を体の中に持っています。私達生物は、遺伝子から生み出された「発現体」です。

 

最適解

 生命は、子孫を残します。その子孫の遺伝子は、自分と配偶者の遺伝子を掛け合わせたものです。

 遺伝子を構成する塩基対は、人間の場合で30億程度、1塩基はATGCの4種類あるので、この全ての組み合わせは‘430億’という異常な大きさです。これだけの可能性があれば、地球上で「最も素晴らしい生命体」、どの生命体よりも絶滅しにくいという最適解を、この遺伝子パターンの組み合わせとして求めることは不可能です。

 しかし、これまでの長い地球上の生命活動の中、より環境への適応性が高い生命の遺伝子が自然淘汰されて生き残り、「人類」という一定の遺伝子傾向を表しています。これが最適解であるかどうかは不明でも、これまでに現れた生命の中では「最良解の一つ」と確実に言えるでしょう。

 現在生き残っているイヌ・マグロ・ゴキブリ等も、環境に適した最適解の一つです。これらの種と人間の遺伝子はかなり分化しており、遺伝子が交わりあうことはありません。

 

進化

 生命の進化は、自分と似た生命との掛け合わせによる子孫発生、そしてそのほかに遺伝子の突然変異というものがあります。この突然変異は多くの場合負の影響を及ぼす(例えば、分裂の抑制作用が突然変異によって失われてしまって出来るガン細胞等が挙げられる)ので、出来る限り生命は突然変異を抑えるように働きかけます。

 遺伝子はワトソン・クリックの2重螺旋構造をとったDNAにより保存され、2本がA-T・G-Cと相補的に結びつくことで、変化を受けない安定な遺伝子を保存できます。さて、DNA複製の際には2本の鎖が解け、相補的に補うような配列がRNAの働きにより作られます。この際に酵素システムの反応では数千〜数万塩基対当たり1つ程度の間違いがあります。たったの 0.01%程度と言っても、遺伝子全体では数10万個の情報誤りとなり、これが細胞分裂の度に起こっていては、生命の安定性に大きな支障が出ます。そこで、塩基が間違っている場合は取り除き作り直すというチェック作用が、生命には備わっています。とは言っても放射線などの外部要因や、そしてごくごく希に、エラーを修復仕切れずに突然変異が起こってしまうことはあります。これが「進化」に繋がることもあります。

 遺伝子の中には発現しない「無駄な」ものも数多くあります。その部分は突然変異を起こしてもあまり影響を受けない、緩衝剤の働きをしています。この部分は種の存続に関わるなどの危機の際に、突然発現することもあります。例えばマイナーな病原菌の抗体などです。