宇宙の始まり

 

 宇宙の年齢は、137.2±1.2億年と言われていますが、はっきりしていません、その始まりは、一点だったようです。宇宙は、そのような 一点の状態から、[爆発・膨張ビッグバン]が始まりました。

 この
「ビッグバン宇宙」ですが、この状態では、素粒子から原子が生まれ、やがて銀河が生成されようとするまさしく宇宙の最初の出来事そのものであり、光と物質が衝突しながらエネルギーが空間を押し広げ、時間(光)を生成しようとし、実質空間と物質を生み出そうとしていたようです。

 私たちが、今生活している現実世界から考えると、とても想像がつかない、とんでもない理論のように思われますが、ビッグバン理論と、その証拠を裏付ける発見が、1960年頃から、たくさん見つかっています。

 ビッグバン宇宙の提案者は、原子核物理学者・ジョージガモフですが、彼は宇宙の始めを証拠付ける電波の存在を予測していました。 1965年に、その微弱な電波(黒体輻射分布)をベル研究所の研究員が電波観測により「全ての方向から飛んで来る同一の電波」として偶然発見しました。これを、
「宇宙背景輻射」と呼んでいます。後の1975年、この電波を発見した研究員は、ノーベル賞を受賞しました。

 その後も「NASA」により、1989年に打ち上げられた宇宙背景輻射観測衛星(COBE・コービー)により、更に詳しい観測が行なわれ、宇宙のはじめに存在したと考えられている熱平衡状態(爆発によるなごりの熱)を証拠付ける観測結果が多く見つかっています。

 宇宙が今に比べて非常に小さかった状態より以前は、どのような世界であったのでしょうか。一般に宇宙の最初は、「ある時刻」を境にして、時間も空間も何もない「無」の状態だったと考えられています。

 「ある時刻」以前の無の世界[物質も時間も存在しない]とは、いったいどのような状態なのでしょうか。

 「ビッグ・バン」から先のことは、観測により証拠がありますが、それ以前の「無」と「ビッグ・バン」との間の出来事は、たくさんの理論[インフレーション理論等]があり、結論が出ていないようです。   

 

ビック・バン宇宙

 

経過時間 出来事 内容 温度
10-34秒後 素粒子の飛び交う世界 陽子や中性子の素であるクオークやレプトンである電子やニュートリノ、光の粒子が超高温の世界で飛び交う 1028
1/10万 秒後 陽子・中性子が生まれる 素粒子であるクオーク[(u),(d)]が結合し陽子と中性子が生まれる 1兆度
3分後 原子核のみが生まれる 核力により陽子と中性子が結合して、初めて原子核が生まれる 10億度
30万年後 原子が生まれる[宇宙の晴れ上がり] 自由に飛び交っていた電子が電磁力により原子核にとらえられ最初の原子である、水素・ヘリウムが生まれる。電子に直進を阻まれていた光の粒子が直進可能となり光がさし始める 4000度
10億年後 最初の銀河が生まれる 銀河には数多くの恒星が重力により誕生するが恒星内部では核融合反応がおこり、水素の燃焼からヘリウムが誕生し、ヘリウムの燃焼から炭素、窒素、酸素が誕生しこれらの元素の燃焼からさらに重い元素が誕生する ?不明?
 


インフレーョン宇宙


 
量子力学では、真空(無の状態)はプラスとマイナスが打ち消しあっている世界であり、時間も空間も存在しない。
その無の状態から、量子論的効果で生まれた最初の宇宙の大きさは、

10-34cm


(原子核の陽子の大きさ:10-13cm)


 そのような大きさ[10-34cm]から光の速さよりはるかに早い速度で膨張がはじまり、この加速膨張が終息したとき
宇宙は、真空のエネルギーから熱のエネルギーに変化し、物質の素である素粒子を生成し始めた。これが、ビッグ・バン宇宙の始まりである 。



宇宙は、空間も時間もない「無」の世界から発生した。